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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2026年02月26日 case142【夫婦編】俺の姓にしておけば良かった


Q.
夫28歳、私33歳の時に結婚して10年です。
結婚の障害になったのは「氏」のこと。

年収は私が夫の1・5倍くらい、私は管理職、夫はヒラだったこともあり、私の姓を選んだんですけど、夫の両親が猛反対。
養子縁組するわけじゃないこと、父と母のことは長男として夫が責任を持つことなど丁寧に説明して、なんとか納得してもらいました。

先日、親同士が顔を合わせる機会があり、私の父が「いい婿に来てもらって」と挨拶した途端、義父が「息子をやったつもりはない」って怒り出してしまいました。
「婿に来た」という言葉に引っかかったみたいなんです。

父は夫を褒めようとしたんだと思うんですけど、それをきっかけに夫も「俺の姓にしておけば良かったんだ」と言い出しました。


A.
男女平等が強く叫ばれる昨今、「嫁入り」「婿入り」「嫁にもらう」「婿にもらう」という概念などなくなったと考えがちですがそんなことはありません。
確かに「入り」や「もらう」はあまり使われませんが、「嫁に行く」「嫁に来る」など使いますよね。
「嫁」という言葉は、親から見た息子の妻のことで、自分の妻を「嫁」と言うのは正しい使い方ではありません。

これに対し親から見た娘の夫が「婿」です。
結婚する相手の「家」に入ることを前提とした言葉ですが、「嫁」には夫や義理の両親に仕えることが求められ、「婿」には相手の「家」を継ぐことが求められます。

現代における「婿入り」の意識や価値観は「家のため」から「二人のため」へと移ってきました。
かつては「家」を守るための制度的側面が強く、商家の「のれん」の維持、農家の「土地」の継承、武家の「家名」の存続など、社会の重要な役割と位置づけられていました。

最近は夫婦のライフスタイルや価値観を反映した選択肢として存在しており、姓や家に囚われずにパートナーシップを築こうとする動きも増え、婚姻時に女性の姓を名乗る男性の割合が以前の3〜4%から5〜6%にほんのちょっと増加しています。
(2026年厚労省)ほとんどの女性が男性の姓を名乗るのは、「嫁入り」の慣習の影響です。

江戸時代以前、庶民は「姓」「苗字」を持つことを禁止、制限されていましたので、同姓、別姓の概念も薄く、武家の女性も結婚後も実家の姓を名乗っていました。
明治31年旧民法で「家制度」のもと、夫婦は婚姻時に同姓を義務づけられるまで夫婦同姓は一般的ではありませんでした。
現在も民法750条に夫婦の姓は「夫、又は妻の氏を称する」と夫婦同姓が義務づけられています。

この夫婦同姓の法的義務は世界で日本だけです。
1996年以降国連から4度の勧告を受けていますが今も夫婦同氏制度は変わっていません。

こういった歴史的背景を考えると、あなたの父親も義父もそして夫も意識するしないに関係なく、刷り込まれた「家制度」に基づいて言葉を発しているのでしょう。
あなたの姓を名乗ることに抵抗があったのは、あなたの両親ではなく、夫だったのかもしれません。

国内政治の状況から、当面「同氏制度」が続くことが考えられるので、まずあなたと夫でよく話し合い、考えを確認してから、あなたの両親に話をした時のように、夫の両親と話をしてください。
その時、婿を褒めようとしたお父さんの気持ちも伝えてくださいね。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!