Q.
結婚して15年、子どもが2人います。
夫は会社員、私はパートタイマーです。
面接に行くと「扶養の範囲でですか?」って103万円の壁のことを確認されます。
私も私の周りのママ友も皆「扶養の範囲内」です。
働きたい気持ちもありますけど、子どもたちとの時間も大事だし、子育てしながら男性と同じように働くのは無理とも思って「扶養の範囲内」ということにしてきました。
それに慣れてしまって…。
今はママ友との時間も大切にしているんです。
でも夫からは「壁がなくなったら俺が残業を減らしてその分おまえが働けよ」って言われています。
夫が家事を負担してくれればいいですけど、そんなわけないので壁を引き上げるのもほどほどにしてほしいんです。
結局女が損しますよね。
A.
「103万円の壁」(年収の壁)とは、主に扶養控除や配偶者控除に関連する制度で、特定の年収を超えると税金や社会保険料が発生し、働いて給与が増えているのに手取りが減少する問題を指します(他に106万円、130万円、150万円、201万円などの壁が存在)。
働き損になるので、勤務時間を自主的に抑制する就業調整が起こるのです。
「扶養の範囲」というのは、そういう意味だと思いますが、103万円の壁だけを考えると扶養の範囲ではなく「非課税の範囲」「配偶者控除が受けられる範囲」ということでしょうか。
この壁を税制改正により125万円に引き上げると主張する与党と178万円を主張する国民民主党の間で駆け引きが続いています。
年収の壁の見直しにより、パートタイマーや学生アルバイトが多い中小企業にとっては、人手不足が緩和される効果があるとされています。
アンケート調査(2024年12月、エフアンドエム)によると、年収の壁の撤廃や上限が引き上げられた場合「もっと働きたい」が37.3%、「どちらかといえばもっと働きたい」が42%となっています。
この壁は1984年から88年は90万円、89年から94年は100万円、95年に103万円に引き上げられましたが、その後28年間据え置かれたままです。
この制度や壁の引き上げについては様々な意見がありますが、それはさておき、あなたのご相談の「結局女が損をする」というお気持ちは理解できます。
壁の引き上げは、女性の社会進出、地位向上を目的としたものですが、「壁がなくなったら俺が残業を減らしてその分おまえが働けよ」というあなたの夫の言葉は、女性の地位向上どころか、あなたの人権をないがしろにしているとしか思えない言葉です。
本気で発せられた言葉であるなら、早急に夫婦関係を見直すことが必要ですね。
ただ、この言葉は、あなたが引き出した言葉かもしれません。
「子どもとの時間も大事」「ママ友との時間も大切にしている」というのは分かりますが、あなたの本音は「男性と同じように働くのは無理」にありませんか?
「扶養の範囲内」というあなたの言葉は「私と子どもの面倒を見てよ」というようにも聞こえます。
家事の分担については夫婦でよく話し合い、壁が引き上げられた時には、「どう生きるのか」の問いを自身に投げかけ、あなた自身の生き方改革を図ってみてはいかがですか。