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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2025年01月29日 case129【夫婦編】それが夫の本性?


Q.
正月に夫の実家と私の実家に行きました。
近いので、たまに行き来はしてるんですけど、新年はちょっと緊張します。

特に夫の実家では、両親に気に入られようといい嫁をやるわけです。
おせち料理を持って行ったり、お義母さんの手伝いをしたり。同居も考えているのでなおさらです。

ただ、ここで腹が立つのは夫の態度です。
両親が期待する嫁像はわかりますけど、夫まで調子に乗って普段と違い「おーいお茶」になるんです。
夫の実家はともかく、私の実家でも「これが男」みたいな態度です。

私だって実家に帰ればお酒の一口くらい飲みたいのに「帰りの運転頼む」ですよ。
しかも正月が過ぎても続くんです。

そんな夫では両親と同居なんてあり得ないし、それが本性なら離婚も考えちゃいます。


A.
そうですね。あなたは最後に「それが本性なら離婚も…」と言っていますが、夫の本性が「おーいお茶」みたいな態度なら離婚を考えた方がいいと思います。

「おーいお茶」は、夫が妻にお茶を入れてくれと頼むイメージですよね。
1960年代後半に新国劇の島田正吾さんが居間で「おーい」と誰かを呼ぶと妻らしき人物がお茶の入った湯呑みを持って廊下から居間をのぞき込み「お茶?! 」と夫(島田さん)に声をかけるCM。
まだ缶やペットボトル入りの煎茶は無く、真空パックの煎茶が画面に映し出されて「お茶と言ったら伊藤園」とナレーションが流れます。
缶入り煎茶の発売後のCMは島田さんの「おーいお茶」の言葉の後に急須でお茶を入れる女性の手の映像が流れます。
昭和の夫婦のイメージです。

夫が妻にかける言葉として「お茶」「めし」「風呂」しかないような時代でした。

ご両親はこの時代の方。
長きにわたる男女差別の問題であり、一朝一夕には解決できない問題です。

あなた自身の中にも「いい嫁」像があるように、「おーいお茶」の価値観で育てられた夫の中にも「いい夫」像があります。
もし、「両親の前では(昭和の)いい夫婦像を見せておこう」という演出なら別ですが「正月が過ぎても…」とのことですから、そんな状況ではないと考えられるので、そんな夫が嫌なら離婚も視野に入れた方がいいかもしれません。
あなたは夫の態度を「普段と違い」と言っているので、必ずしも実家での夫の態度が本性と思ってはいないけれど「普段の夫」「実家での夫」、どちらが本性なのか揺れている。
「離婚も考えちゃいます」という軽い言い方から、夫の本性が「おーいお茶」だとしても、「夫婦関係は続けたい」「私なら夫をコントロールできる」という気持ちもあるように思います。
夫婦で話し合い、お互いを理解するよう努めましょう。

あなたも夫の実家で「いい嫁」をするのではなく、普段のあなたでいるようにしてみてください。
ご両親もそんなあなたを受け入れてくれるはずです。

伊藤園のウェブサイトでは島田正吾さんのCM動画は見られなくなっていて、「(「おーいお茶」の商品名には)家族などに呼びかけているような親しみが込められ」とジェンダー批判に対する弁明とも取れる文章が載っています。
「おーいお茶」のCMも時代とともに変化しているんです。
ご両親、あなた方ご夫婦の価値観も既に変化をしていると思いますよ。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!