Q.
彼とは理系の大学で知り合いました。
お互い励まし合って希望する会社に就職できたんです。
就職の内定後、結婚を前提に付き合ってほしいと言われましたが、それから4年が経ちました。
仕事を満足にこなせるようになったら結婚しようと過ごしてきたんです。
ところが先日彼から「ずっと入りたいと思ってた会社がある」って言われたんです。
彼の仕事の内容からすると気持ちもわかるんですけど、その会社は地方なんです。
「えっ、そんな話聞いてない。別れるっていうこと?」と聞くと「結婚して僕についてきてくれない?」と言うんです。
これまでの私のキャリアはどうなる…。
結婚はしたいけど、男は好きなことをやり女はそれについてこいみたいな彼の考えには納得できないんです。
A.
先日行われた米国大統領選で、カマラ・ハリス副大統領がトランプ前大統領に敗れたことで、米国初の女性大統領は実現しませんでした。
大統領職に挑む女性を跳ね返し続ける「最も高く、分厚いガラスの天井」、〝それは米国社会に残る「大統領は男性の仕事」という固定観念の反映でもある〞と(11月7日朝日新聞など)各メディアも報じています。
2016年、ヒラリー・クリントン氏が大統領選に敗れた時「ガラスの天井を破れなかった」という主旨のスピーチをしました。
女性を含む社会的マイノリティが組織のトップに就こうとする時、直面する障壁を「ガラスの天井」と呼びますが、ガラスの天井以前に、女性は「はしごすら登れない」というのが現状です。
「女性は育児、家事を担うもの」「リーダーは男性こそふさわしく女性は適していない」などというジェンダーバイアスがまだ強く残っています。
あなたのように「えっ、私のキャリアはどうなる…」と考えたり振舞ったりすると「女性らしくない」「女性は結婚して男性を支えてこそ幸せになれる」などと周囲から言われてしまいます。
10年ほど前に少女漫画やTVなどで「壁ドン」という言葉が流行ったことがありました。
小柄な女の子が背の高いハンサムな男の子に壁にドンと手をついて迫られ「黙って俺についてこい」的な言葉を言われ、胸キュンする恋愛のシチュエーションです。
「2014年、流行したモノ・コト」の女子中高生アンケートで1位に選ばれましたが、あまりにひどい女性差別という批判があり、短期間の流行で終わりました。
それでも今なおプロポーズの言葉としての「俺についてきてほしい」「おまえを一生幸せにしてやる」等のセリフは「王道のプロポーズの言葉」の上位に入っています。
(美花嫁図鑑)女性が「仕事」という「はしご」を登ろうとしても、最初の一歩が踏み出せず、男性のやりたい仕事が見つかるとキャリアをあきらめてでも「結婚して僕についてきてくれない?」と言われてしまうことも少なくありません。
「壊れたはしご」や「ガラスの天井」を乗り越えるために、ぜひ納得のいかない気持ちを率直に彼に話し、あなたの4年間のキャリアを生かす方法を2人で見つけてください。
最近は企業が女性の登用に前向きなので、何か方法が見つかるかもしれません。
「僕についてきて」という彼の態度が変わらない場合には、「彼を捨て、仕事を取る」も選択肢かもしれませんね。