Q.
結婚して10年、8歳の息子と6歳の娘がいます。
出産を機に仕事は辞め、現在は専業主婦です。
夫の帰宅は毎日9時頃で、週休2日とはいえ、疲れているのは分かります。
それでも夫は家事や子育てに協力的で、休みの日は私以上に家事をこなし、子どもたちとも遊んでくれるんです。私の日常は友達とランチをしたり、映画に行ったり、自分の買い物をしたり、とにかく楽をしています。
夫には申し訳ないという気持ちもありますが、主婦の仕事は休日もないアンペイドワークだし、友達とのランチだって大事な地域とのコミュニケーションと自分を納得させているんです。
でも、私だけが遊んでいるような罪悪感もあり、「家族の中の私の存在意義って何?」って苦しくなることがあるんです。
A.
「専業主婦」という言葉が定着したのは、第二次大戦後の1950年代でした。
江戸時代以前の庶民の生活は農林水産業が主で、「夫婦」で働かなくては家計が成り立ちませんでした。
武家の間には「夫は外廻り、妻は家にあって夫に仕え、子と家庭を守るという役割分担思想」がありましたが、一般庶民にはほど遠いものでした。
戦前の一時期、出産を奨励するために「母よ、家庭に帰れ」のスローガンを政府が掲げました(1938年)が、戦争が激化し、男性が戦地へ赴かなくてはならなくなるとそれどころではなく、工場での勤労奉仕が全国の女性に課せられました。
戦後日本経済が飛躍的な復興を遂げる1955年頃から製造業を中心とする産業の高度化により経済成長を遂げ、「配偶者(夫)が家計を支える」ことが可能になり、三食昼寝付きの「幸せ主婦」と言われる専業主婦が出現します。
高度経済成長期の「都市化、核家族化、サラリーマン化」が「幸せ主婦=専業主婦」を生み、男性は仕事を生きがいとし、マイカーや電化製品に目を輝かせ、女性は家事育児にいそしみました。
1990年代になると状況が一変します。「主夫」の登場です。
理想の男性像が「三高」(高身長、高学歴、高収入)から「三優」(私に優しい、家族に優しい、家計に優しい)へと変わっていったのです。
1985年の男女雇用機会均等法の制定もあり、男性の生き方にも影響を与え、それまでの「仕事が生きがい」から「家族が生きがい」へと変化します。
男性用トイレへのベビーベッド、チェアの設置や、男性用エプロン、育児用品の販売など社会も後押しし、家事育児が「手伝い」ではなく、「喜び」という男性が増えていきます。
あなたの夫も家事育児が「喜び」という男性の一人かもしれませんね。
さて、「家族の中の私の存在意義って何?」と苦しくなることのあるあなた、自分自身を見失っていませんか?
まず「家族の中の」を外して、「私の存在意義」「私は何をしたい?」を考えてみましょう。
自分を主役として、「恋愛時代のこと」「新婚時代のこと」「現在のこと」「未来のこと」等々、夫婦で話をするのもいいと思います。
そして夫婦関係も考えてみましょう。大切なのはお互いの自立です。
あなたの夫は生活の自立はできているようなので、もう少しお子さんが大きくなったら、あなたの経済的自立を考えてみてください。バランスの取れた素晴らしいご夫婦になることと思います。