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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2024年08月27日 case124【恋愛編】高校愛、大学愛の強い彼


Q.
彼とは、半年ほど前、合コンで知り合いました。
彼と付き合うことにしたのは、出身大学が私の入りたかった大学だったから。
私も受験したんですけど落ちてしまって。

彼には、ほぼ満足していますが、嫌なところが1つあります。
それは、すぐに高校、大学の話をすること。
よほど高校愛、大学愛が強いのか、それとも「俺はおまえより優秀だ」って言いたいのか、「××の時はね…」とよく話をするんです。
そういう話をされると、私には男子校の熾烈な競争はまったく分からないので劣等感を感じてしまったり、無意識に彼の優秀さの下に自分を置こうとしてしまったりしている自分を感じます。
平等ではなくなるんです。

このまま家庭を築いたら、私はずっと彼の下?別れることも考えています。


A.
あなたが彼と付き合うことにした理由が「彼の出身大学が私の入りたかった大学だったから」とのこと。
そして「彼には、ほぼ満足していますが、嫌なとことが1つ」あり、それはすぐに高校、大学の話をすることであり、「よほど高校愛、大学愛が強いのか、それとも〝俺はおまえより優秀だ〞って言いたいのか」と言っています。

この彼の「嫌なところ」は、まさにあなた自身が内面に持っているところと同じなんです。
心理学的に「自分が苦手だ、嫌いだと思う相手は、実は自分の嫌なところをそっくり持っているのである」と言われています。
ジークムント・フロイト(1956〜1939)の精神分析理論の中のコンプレックス理論です。
心理学で言う「コンプレックス」とは「心のくせ、心の偏り」という意味で、人は自分の内なるコンプレックスに振り回されがちになると言われています。

自分は偏差値が足りなくて落ちてしまったが彼は合格している、だから「彼は私より優秀」と思って付き合うことにしたというわけですから、彼が高校、大学の話をすればあなたは当然、彼が優秀さを誇示していると受け取ります。

2023年8月に、12校の別学公立高校のある埼玉県に対し、男女共同参画苦情処理委員会が共学化を求める勧告を出し、今年の8月末には県教育委員会が共学化の対応への結論を迫られているところでもあります。
今も別学の公立高校が残るのは埼玉、群馬、栃木の3県のみ。
埼玉県では別学の伝統校の同窓会が中心となり、「別学の方が勉強しやすい」「リーダーを育てやすい」などと共学化に反対を唱えていますが、パリオリンピックで示された多様性や男女平等の世界的流れや時代に逆行していることは明らかです。

今や別学は私立高校を含めても全体の1割程度で、彼はそこの卒業生。
あなたの感じている男子校への劣等感は、「私だって男子校に通っていれば、あなたと同じ大学に入れたわよ」という嫉妬や羨望も含まれているのかもしれませんね。
「平等ではなくなる」「私はずっと彼の下?」というあなたの感覚はとても素晴らしい感覚なので大切にしてください。
元々の「彼の偏差値の高さ」「男子校の熾烈な競争」に無意識に魅力を感じてしまった自分、そしてそれを自慢する彼に「平等でない」違和感を感じたあなた。

彼と「別れる」のも選択肢かもしれませんが、その前にあなた自身の価値観を見直すことも必要かもしれませんね。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!