Q.
彼とは2年付き合っています。粗野でなく優しくて私を対等に扱ってくれるところが好きです。
先日、渋谷で偶然彼を見かけました。男友達と一緒でした。
声をかけようとしたら、手を繋いでるんです。気持ち悪くて、声をかけられませんでした。彼と男友達との関係が気になり、見かける度に観察していたんです。やはり変な関係に思えてならないので、思い切って聞いてみました。
最初、「親友だよ」って言ってたんですけど、手を繋いでいたのを見たことやずっと観察していたことを話すと「付き合ってる」って言うんです。
「君のことも好きだけど、彼のことも好き」と。えっ?二股かけられてた?!それも男と?
何が起こっているのか整理できなくて、別れる決心もつきません。
A.
一般的には、男性は女性を好きになり、女性は男性を好きになると思う人が多いわけですが、現実にはそうでない人たちもいます。
男性のことが好きな男性、女性のことが好きな女性、そして同性も異性も好きな男性、女性もいます。
あなたの彼は、この中の「同性も異性も好きになる男性」だったんですね。どんな人に心をときめかせるか、「性の多様性」については、やっと理解が始まったところです。
男性と女性では見た目も違うし、身体の中の構造も違います。
女性には概ね子宮や卵巣があり、子どもを産むことができる構造になっていますが、男性にはそういった器官がありませんので出産もできません。
脳にもこのような性差があって、それが異性を好きになるか、同性を好きになるかという「性的指向」を決めていると言われているのです。脳の「視床下部」というほぼ真ん中の「間脳」という場所にあり、性行動の他、ホルモン分泌行動、摂食、体温調節などを司っている器官だそうです。(埼大大学院生命科学部准教授 塚原伸治氏)
ここの一部分である「前視床下部間質核」の大きさが異なって「異性愛男性」と同性を好きになる「同性愛男性」ができ、あなたの彼のように同性にも異性にも心がときめくタイプの男性(バイセクシュアル)ができるわけです。
性を構成する要素は①身体の性(性器、性腺、染色体などの身体的特徴で分けられる性)、②心の性(性自認すなわち男性だと思う、女性だと思う、どちらとも思う、性別は決めたくないと思うなど様々)、③性的指向と言われる「好きになる性」があります。
さてあなたは、彼がバイセクシュアル(男女どちらにも性愛感情が向く性のあり方)だったのを初めて知り、何が起こっているのか整理できず別れる決心もつかないと悩んでいるのですが、あなたは2つのことで悩んでいます。
1つはバイセクシュアルの彼が理解できないこと、もう1つは二股をかけられていることです。
あなたの意識の中に「女なのに男に負けた」という意識はありませんか?最近問題になっている性的マイノリティは他人事ではなく、誰にとっても身近な問題であることを認識し、性の多様性を受け入れることが大切です。
中には、性的指向は男性なのにカミングアウトできずに苦しんだあげく、表向きは女性と恋愛し結婚するといった男性もいます。
彼を理解することがあなたが前を向ける唯一の方法です。
彼とよく話し合ってみてください。