Q.
結婚して5年、3歳の息子がいます。出産後も、お互い仕事を続けるという約束をしての結婚、出産だったので、産後、私も夫も育休を取り職場に復帰しました。夫もよくやってくれてるなあと思っていたんです。ところが最近は、子どもが熱を出したり体調が悪かったりして保育園を休ませなきゃならなくなると、夫の言葉は決まって「休めるよな?」。女だからって簡単に休めるわけじゃないのに、夫の本音は男の仕事と女の仕事は違うっていうことらしいんです。つい先日も「休めるよな?」って言われたので「ちょっと難しいかなあ…」と言ったら夫は「じゃあ今回は俺が休むけど、そろそろ仕事辞めたら?」って言うんです。出産後もお互い仕事を続けるっていう話は何だったんでしょう。
A.
「女性は結婚したら仕事を辞める」という考え方は、近年一般的なものではなくなりました。結婚後も女性が仕事を継続できる制度も企業も増え、共働き家庭は珍しくありません。2016年の匿名のブログ「保育園落ちた 日本死ね!!!」は共感を呼び、待機児童も2022年には過去最少の2944人になりました。「女性活躍推進法」が施行、改正され、従業員100人超の事業主に対し、女性が働きやすい職場にするよう取り組みを義務化しています。違反しても罰則はありませんが、積極的に推進した企業には「えるぼしマーク」の認定をしています。「星のように輝く女性へのエール」と3 つのL「L a d y( 女性)、L a b o u r( 働く)、Lead(手本)」を込めての厚生労働省の命名だそうです。とは言うものの、あなたの夫のように子どもが病気になったら「母親が休暇を取る」のが当然という男性は多く存在します。学校やマスコミによる性役割概念の固定化や男性を育てた母親や父親に刷り込まれた家父長制意識、差別を助長する誤った父性・母性論など、根強く残っています。あなた自身の中にもありませんか?
厚労省は、先に挙げた「えるぼし認定」の他に、仕事と子育ての支援に取り組もうとする企業に、赤ちゃんの身体を包む「おくるみ」と「職場ぐるみ・社会ぐるみ」という言葉をかけた「くるみんマーク」の授与も行っています。労働力不足が顕著になってきた昨今、「働く能力や意欲はあるけれど、出産や子育てなどのライフイベントで離職する女性」を減らそうという試みであり、2022年には4千社が認定を受けています。しかし、社会全体では、支援に取り組める企業は大企業や取り組みやすい業種に限られるということもあり、男女の意識の面だけでなく、社会構造が妻に育児を強要するというあなたの夫のような男性を生み出している側面もあります。
相手から「会社を辞めること」を求められたら、まずしっかり話し合いの時間を持ってください。お互いのキャリアや夫婦の生活スタイルは夫婦で一緒に考えていかなければならない問題です。病児保育室も各地にできていることや今後の収入面でのデメリット、あなたの社会とのつながり、夫が「仕事を辞める」という選択肢もあることなど、話し合いましょう。そして、「この先何十年もこの夫と一緒にいられるだろうか」とあなた自身の自問自答も必要です。