Q.
彼とは付き合い始めて3ヶ月、8人目の男性です。彼もそのことは分かっていて、それをとやかく言われることはないんですけど、この前、ホテルに誘ったら「おまえ、肉食系だよな」って言われました。すごく気分が悪くて、その日は食事だけで別れました。それからずっと彼の言葉が引っかかっていて、会いにくいっていうか…。男女の関係に性は大事ですよね。だから、相性を確かめるために8人と付き合ってきたんです。5年前に結婚して4歳の子どもがいる友達は、出産後完全にセックスレスで、何のための結婚だったんだろって言うんです。そうなりたくないから、性を大事にしたいって思ってるのに、それを「肉食系だよな」って言い方をする男ってひどいですよね?
A.
あなたは「相性を確かめるために8人と付き合ってきた」とのこと。おっしゃる通り、男女関係に性が大事な要素であることは間違いありません。私の研究所に夫婦関係のことでお見えになるカップルの多くはセックスレスの問題を抱えています。年に数回というカップルもいれば、完全なセックスレスというカップルもいます。昔から「秋風と夫婦喧嘩は日が入りゃ止む」(夜になってセックス(性行為)すれば収まる)と言われてきました。腹が立っていても、一緒に夜を過ごし、愛情を持ってセックスをすれば、喧嘩などどこかに行ってしまうものです。ところが個を重視する最近では、夫婦がそれぞれ部屋を持っていることも多く、喧嘩の後それぞれ部屋に入ってしまえば、顔も見ず、もちろんスキンシップなどないので、日が入っても秋風は止みません。セックスの回数の多い夫婦であれば、仲直りのきっかけも作りやすく、関係も修復できます。「性」は夫婦関係にとって大事な要素ではあるのですが、相手をよく知り、気持ちが通じあってこそであり、「相性を確かめるためのセックス」では大事な要素になり得ません。あなたの性に対する考えには歪みがあるようなので、「性」について考え直すことが必要ですね。
そして「肉食系だよな」です。「肉食系」は「恋愛に積極的で自ら行動を起こすタイプ」で、とりわけセックスに対して積極的な人を指します。ジェンダーギャップの大きな日本では「女性は受け身でおしとやかであるべき」という考えが根強く、女性を揶揄するときにも使われます。「肉食系」なのに男性から「肉食系」と見られるのが嫌で、外は野菜(草食系)、中身は肉という「ロールキャベツ系」という女性もいるそうです。「「肉食系だよな」って言い方をする男ってひどい」というあなたの中にも「女は受け身の方がいい」という意識がありますよね。8人目の彼は、あなたを対等の存在と見ることのできない男性のようなので、あなたに対する愛情があるとは思えません。あなたの「相性を確かめる」という発想が、そういう男を近づけてしまったのでしょう。相性のいい人との出会いは数ではなく、相手に対する愛情の有無で決まります。セックスは2人のコミュニケーションの手段としてとても大切で素敵なものです。他の動物のように種の保存のためでなくセックスをするのは人間だけ。あなたにはまず人として愛する心が必要です。