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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2023年07月20日 case111【恋愛編】「彼と一緒に住んでるなんて言えない」

Q.
彼は大学で1年先輩の3年生。サークルで知り合い、付き合い始めて1年です。3ヶ月くらい前、私が熱を出した時、彼が自転車で20分くらいかけて毎日看病に来てくれたんですけど、行き来が面倒になり、だんだん帰らなくなってそのまま一緒に住むようになりました。家賃も1部屋分になり、食費も抑えられるのでいいことずくめなんです。彼の両親はオープンな人で、彼に「学生なんだから妊娠には注意するように」って言ったそうです。彼は私に「ちゃんと両親に話してよ」と言うんですけど、私の両親は厳格な上に「男は加害者、女は被害者」みたいな感覚の人なので、学生で同棲なんて許してくれるとは思えないし、すでに一緒に住んでいることをどう話せばいいか困っています。

A.
素敵な青春ドラマですねぇ。でも、あなたたちのドラマには3つの問題点があります。1つ目はあなた自身の問題です。熱を出したあなたの看病に彼が通って来ていて「行き来が面倒になり、だんだん帰らなくなって…」同棲が始まりました。あなたの言葉の中の「面倒」「だんだん」という表現は、彼の行動や様子を表現する言葉でしかなく、あなたの気持ちや意志を感じることはできません。同棲に至る経緯を説明するのに必要ということは分かりますが、「家賃…、食費も…いいことずくめ」と聞くと「あなたの彼に対する気持ちはどうなの?」と問いたくなります。彼との生活が「ルームシェア」ではなく、同棲生活だとすれば、彼のことが好き、少しでも長く一緒にいたいとあなたが思っていることは必須条件です。まずそれをあなた自身に問いかけてみてください。

2つ目は、あなたが困っている「両親」の問題。「厳格」ということから考えると、あなたたちは順序を間違えました。許してもらえないとしても「一緒に住んでいる」状態になる前に「一緒に住みたい」と話をするべきでした。今からでも遅くはないので「彼が看病してくれたこと」、「彼のことが好き、彼と少しでも長く一緒にいたいとあなたが思っていること」(1つ目の問題をクリアしたとして)を真っ直ぐ話してみてください。学生生活の送り方、卒業後の夢など話す必要もあるかもしれません。「男は加害者、女は被害者」というのも、ジェンダーの発想ではあるものの、彼の両親の言う「学生なんだから妊娠には注意するように」という内容と変わらないことはあなたも気づいていますよね。彼と暮らすことに両親の許可がいるわけではありませんが、あなた自身の彼に対する気持ちの確認、厳格な両親との今後の良好な関係には、向き合うことが必要です。

私がもっとも問題だと感じている3つ目の問題。それは彼の「ちゃんと両親に話してよ」という言葉です。あなたの両親に話をするしないはあなたの問題。彼は、オープンな感覚の両親に話しましたが、あなたが両親に話していないことで心に負担が生じているのです。「両親に話す」はあなたのためでなく、彼のための行為なのです。私はこれが「男は加害者、女は被害者」の本質と捉えています。同じようなことが続くなら、同棲は考え直した方がいいかもしれません。あなたも大人、こじれることを覚悟すれば、両親には黙っているというのもありですよね。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!