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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2023年04月19日 case108【恋愛編】「隣の芝生が青く見える」

Q.
彼とは、1年前、友達の紹介で知り合いました。彼氏と別れて落ち込んでいた私を癒してくれたんです。今の彼は前の彼と違って、粗野なところもなく優しいので、一緒にいて楽だし、ビクビクしなければならないこともありません。ところが先日、友達に会ったら、一緒にいた彼氏を紹介してくれたんです。友達の彼氏を見た途端、彼女のことがうらやましく思えてしまいました。「私もこんな彼氏がほしい!」みたいな…。急に自分の彼氏が魅力のない男に思えてきたんです。でも、こういう気持ちって初めてではない気がします。いつも「隣の芝生が青く見える」っていうか…。それで実際何度か別れることにもなりました。そういう気持ちを感じてしまう私って変でしょうか?

A.
心理学者、エリック・バーン(1910―1970)は、人は自分の「人生脚本」の筋書きの要点を4歳くらいまでに決め、7歳くらいまでには要点をこと細かに完成させると述べています。人は誕生したあと、周りの人たちから様々なストローク(人から人への働きかけ)を受け、人生早期に「自分とはこういうものだ。周りの世界はこういうものだ」と決め、同時に「そのような自分がこの世界でどのように周りの人たちと関わり合って生きていくか」を決める(幼児決断)、そしてそれ以降、この決めたものに従って死ぬまで人生を送っていくというものです。これを「人生脚本」と呼びますが、普通は自分では気づいていないので「無意識の人生計画」と言われます。この無意識に作った人生脚本は個人が自分で決めたものであり、「それは自分自身で決め直すこと」(再決断)ができます

あなたは、「常に隣の芝生が青く見える」「他者の持ち物、友達のパートナーの方が良く見える」という人生脚本を幼児期に書き上げていると思われます。カウンセリングでは、生育歴を問題にすることがありますが、人生脚本を分析してみて、個人がどのような経験をしてきたかの事実に加え、そこからどのような個人の物語が作られ、それが生活の中でどのように現れているかを問題とすることもあります。脚本はその人の「人生の過程(ライフコース)」に大きく影響します。自分は悲劇のヒロインとしての脚本を書き、それに従って生きているけれど、これからもそれをそのまま演じ続けるのか、またはハッピーエンドの人生を目指して「再決断」をするのかによって、人生を変えることができるのです。

人生は人間関係の連続で、その全体像の基底に流れるその人のあり方を「人生の基本的立場」と言います。脚本として自分自身をどのように捉えるか、人生の基本的立場をどう決めるのかによってあなたの人生は変わります。人生の基本的立場は幼いころの体験やその後の周りの人との関わり合いによって強化されます。もしかすると、人生脚本を書く成長の段階で「自分より他者の方が優れている」というストロークを受けていたのかもしれません。「〇〇ちゃんはえらいよね」「〇〇ちゃんを見習いなさい」などと言われた記憶を書き直して、「人生脚本の再決断」をしてください

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!