Q.
実は私、二股かけてるんです。2人に悪いなって思うけど、どっちも好きだし、まだ結婚してるわけじゃないし。どうしても決められないんです。A君はハンサムで私をぐいぐい引っ張っていってくれる男らしいタイプ、B君は垢抜けなくて私が決めてあげないと何もできない弱々しいタイプ。A君といると周りにも自慢できるし、私って可愛い女だなあって思えるんです。でも、縛られてる感じがして「私ってペット?」って思うこともある。B君といるとちょっと恥ずかしいし、私ってひどい女に映ってるんだろうなって思うんです。でも、優しいし、私の出番もたくさんあって、生きてるって実感できる。これって私のわがままでしょうか?二股かけていることで私が私でいられる気がするんです。
A.
あなたは自分の中に「2人の私がいる」と言っています。心理学の分野では、あなたが感じている「2人」ではなく「3人」、そしてそれをさらに細かく分けて「内なる5人の私がいる」と説明されること(エリック・バーン 交流分析)が多いのですが、今回は「3人の私」として説明します。子どもから大人まで、すべての人の心の中に、「3人の私」は常に存在しています。①「親的な私」②「大人の私」③「子ども的な私」です。状況に応じて、ある1つの特性が強く働いたり、複数の特性が同時に働いたりもします。
「2人の私がいる」と感じるあなたは、①の内なる「親的な私」の特性が表に出ている時は、垢抜けなくて私が決めてあげないと何もできない弱々しいタイプのB君に対し、母親のような気持ちになって世話をしてあげたり、父親のような気持ちになって「私に任せといて!」と決めてあげたりすることに心地よさを感じているのでしょう。ところがそれが続くと「親的な私」の役割に疲れ、「わあ、それ欲しーっ!」と自由に振る舞いたくなったり、「私、決められなーい。決めてーっ!」と甘えたくなったり…、③の「子ども的な私」が登場することになるのです。「二股かけていて2人に悪いな」と冷静に判断できている時は、成人の安定して思慮深い私、②の「大人の私」が働いているのです。
「親的な私」か「子ども的な私」のどちらかが強く出ていると「B君がいい」と思ったり、「A君がいい」と思ったり、揺れ動くわけです。あなたは、A君は「男らしいタイプ」で、A君といると、自慢できたり、「私って可愛い女」と感じると言いますが、反面、「縛られて」いて、「私ってペット?」とも感じる。あなたがそう感じているとしたら、「男らしさ」とはとんでもないものですね。生きることに「出番」があることは大切なので、①が働き、B君は自慢できなくて「ちょっと恥ずかしい」けれど、「優しいし、私の出番もたくさんあって、生きてるなって実感できる」のは、あなたにとってとてもいいことですが、B君はどう感じているのでしょう。お互いが自分らしく生きられて成り立つ関係がいい関係ですよね。確かに二股かけていると、あなたの中の「2人の私」を満足させることはできているようですが、果たしてA君、B君はどう感じているのでしょう。相手の立場に立って関係を考えることも必要です。