Q.
コロナ禍で夫といる時間が増えたせいか、つまらないことで夫に腹が立って怒鳴っちゃうんです。
テレビを見ようと寝転んだ夫に「そんなところに寝転がらないで!」とかゴミ箱に直にゴミを捨てる夫に「袋入れてから捨ててって言ったでしょ!」とか家中パタパタ歩く夫に「静かに歩いて!」とか…。夫は「またかよ」って顔をするので、さらに腹が立って「何度言わせるの!」と怒鳴っちゃいます。先日の久しぶりの旅行では、夫が道を間違え、宿に着くのが5分遅れたことに腹が立って「ナビに入れたんでしょ!」と怒鳴ってしまい、3日間口もきかず散々な旅行になってしまいました。私ってアダルトチルドレンなんでしょうか?それとも夫が発達障害なんでしょうか?
A.
「私がAC(アダルトチルドレン)?、夫が発達障害?」とのお尋ねです。
一口にACと言ってもあなたのように「つまらないことで夫に腹が立って怒鳴っちゃう」という症状もあれば、夫や恋人、上司など特定の相手に依存しやすくなったり、他人に認められたくて必要以上に明るく振る舞ったり頑張ったりして疲れてしまう、罪悪感が強く自責の念を持ちやすく、何をしても楽しくなく人生を楽しむことが下手など、「生きづらさ」を抱えていたりします。自己肯定感が低いので周囲の承認を得ないと不安で「承認欲求」が強く、「焼きもち」が極端に表れ相手を困惑させるケースもあります。発達障害も症状は多岐に渡り、ADHD(注意欠如、多動性)、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)、学習障害などがあります。ACは「大人になった今の生きづらさが子どもの頃の育った環境のせいで起こっている」と考えられる人のことです。育つ過程で家族から悪い影響を受けると、思い込みや考え方に歪みが生じ、それが癖となって残り、大人となり心のわだかまりとなります。子どもにとって良くない環境やストレスが日常的に存在している家族を機能不全家族と言い、ACの原因になります。大人になったのに心の中に子どもの時の寂しかったり辛かったりした小さな子どもがいて(インナーチャイルド)、今は親に過度に厳しくされたり虐待されたりしていないのに、折に触れ被害妄想的になって、悲しくなったりイライラしたりします。「愛着障害」とも言い、人は赤ちゃんの時、声かけや触れ合いなどのコミュニケーションを通して人への信頼や心理的な安心を得たりするのですが、これが何らかの理由で形成されていないと成長しても誰にでもしがみつこうとしたり、落ち着きがなかったりします。こうした愛着障害に気づかず大人になると日常生活や仕事で困難や苦しさ、ストレスを感じるのです。
あなたも夫との日常生活で生きづらさを訴えているので、幼い頃の生育過程に何らかの問題があったのかもしれません。夫の態度は「発達障害」とは言えません。最近言葉だけが一人歩きし、安易に「AC」や「発達障害」に当てはめたがる傾向がありますが、治療が必要と考えられるケースは非常に稀です。あなたの場合も夫以外との関係で、腹が立って怒鳴ったりするようなことがないのであれば、ACとは考えづらいので、まず夫婦関係見直しの努力をしてください。