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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2022年06月17日 case98【夫婦編】「結婚に学歴は大事?」

Q.
結婚10年、小学生の息子と娘がいます。私の出身大学は国立の難関校で、夫は私立の三流大学です。夫も私も課長職ですが、年収は私の方が3割増しくらい。私より高学歴の人って少ないし、学歴なんて気にせず「この人しかいない」と思って結婚しました。新婚の頃はよかったんですけど、収入に差が付いてくると、夫はひがみっぽくなったんです。「おまえには俺の苦労が分からないんだ」が口癖のようになっているし、子どものことでも私は地域の学校で友達といっぱい遊んでほしいと思うんですけど、夫は偏差値の高い私立へ入れなきゃダメだって言います。先日、つい「学歴なんて関係ないって言ってたのにあなたはやっぱり学歴を気にしてるじゃない!」と言ってしまいました。

A.
一昔前、結婚相手の男性に求められたものは「三高(高学歴、高収入、高身長)」でした。今、女性に支持されているのは「三優(私に優しい、家族に優しい、家計に優しい)」(2022年1月JCB調査)となりました。これは「周囲に自慢できる男性」より「協力しながら楽しい家庭を築いていける男性」にニーズが移ってきたということです。「三高」は、もはや過去の話。しかも現在多くの先進国で女性の大学卒率が男性を上回っていて、日本でも夫より学歴の高い妻が増加、2割を超えた(2010年国立社会保障人口問題研究所)そうです。 この日本での動きも世界のグローバルなトレンドと一致したものです。

あなたの夫は、あなたと同じ4年制大学卒という学歴ですから、「中学、高校、専門学校卒の学歴コンプレックス」とは違うとはいえ、大学の偏差値を比べて、自分の出身大学の名前をひた隠しにしたり、同じ東大卒でも、友人の学部より偏差値の低い学部の出身だと言ってしょっちゅう友人の悪口を言ったりする人と同じように、あなたの夫は「俺の苦労が分からないんだ」が口癖のようになって、ひがみっぽくなっているんですよね。「三優」の「家計に優しい」も年収の多さではなく、「自分だけの趣味や酒・たばこ、パチンコなどの遊びに多くのお金を注ぎ込まない優しさ」を差しているようです。夫が自分の学歴が私大の三流校で、妻のあなたが国立の難関校、その差が収入の格差につながっていると思い込み、お子さんたちの進路もあなたと価値観が違ってきてしまいました。依然として学歴フィルターは存在するものの、社会の動勢としては、履歴書の欄から「学歴」の項目を削除している企業も出始めています。夫は同じ課長職なのに収入があなたの方が上なのは、出身校の偏差値の違いだと実はあなたも思っていますよね。

私達の祖先の女にとって、狩猟採集生活社会では夫から、より豊かな資源が供給されるかどうかは自分そして子どもの生死に直結する大問題で、狩猟上手な男を選んだ女はたくさんの子を残すことができたはずです。男だけの狩猟に頼るのではない男女平等を目指す現代社会では、学歴や偏差値で収入の額に差が付くことがあったとしても、あなたのなさった結婚相手の選択を夫のように否定的に受け止めるのではなく、前進的な「進化」と受け止めて、従来の「夫=高偏差値、妻=夫より低い偏差値」の逆転を大切にしてほしいと思います。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!