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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2022年05月19日 case97【夫婦編】「夫に従ってしまう私」

Q.
結婚5年、2歳の娘がいます。夫は誕生日とか結婚記念日とかにはプレゼントをくれるし、子どもとも遊んでくれる優しい人です。でも、私が私らしくしてるかっていうと違います。例えば私がイタリアンのお店に行きたいと思っても、彼が「今日は豚骨ね」って言えば「うん」って言ってしまう。休日で私は子どもを連れて公園に行きたいと思っても、彼が「家でゆっくりしよう」って言えば「そうだね」と答える。いつも彼に従っちゃうんです。ちゃんと私の気持ちを伝えればって思うんですけど、「食事行かない?」って言ったら「お金もかかるし家でいんじゃない?」って言われたことがあって、そんな時の自分の気持ちの落ち込みようがわかるから。だんだんきつくなってきちゃってて…。

A.
あなたの抱えている悩みは、ほぼすべての日本女性が抱える問題です。「女らしさとは何?」という問いに対し、常に上位に来るのが「男に従うこと」。自分より頭が良かったり仕事ができたりする女性は困ると思っている男は多いものです。頭ではそう思っていなくても、無意識にそう行動する男もいるのでたちが悪いですよね。だから「できる女」はできることをかくし、時には男に甘えて何かしてもらったり従ったりして、いわゆる「夫を立てる」あげまんを演じたりもするわけです。そういう文化や習慣を幼いころから見聞きしている日本の女の子たちは、大人になっても自己主張をすることが幸せになる道ではないと学習してしまいます。北欧フィンランドの首相は36歳の若き女性ですが、まだまだ日本では「夫に従うくせ」のついている女性が多いのが現状です。

心理療法の1つに「内なる5人の私がいる」と考える交流分析というものがあります。「AC」(アダプテッドチャイルド)『順応した子ども』、「CP」(コントロールペアレンツ)『支配的な父親』、「NP」(ネイチャリングペアレンツ)『保護的な母親』、「A」(アダルト)『合理的な大人』、「FC」(フリーチャイルド)『自由な子ども』の5人ですが、あなたの場合5人の私のうちの一人「AC」(アダプテッドチャイルド)『順応した子ども』が過剰に働いていると考えられます。この「内なる5人の私」は誰の心の中にもあり、人によって、時によって、その中の「どの私」が出るかで人との関わり方が違ってきます。あなたは「順応した子ども」の働きが強く「ハイ、わかりました」「みんなのいいようで」「言う通りにします」などと言っているうちに「FC」の自由で元気な自分を押し殺してしまい、落ち込んだりきつくなったりしてきてしまいました。こんな時は「5人の私」の中の「FC」を出すよう努力してみましょう。例えば「どちらでも」という言葉は使わず「〜したいなあ」とハッキリ言ってみる。「お先にどうぞ」とか「ごめんなさい」とかもやめて、「わぁーい、やりたーい!」「イタリアンに行きた〜い!」と大きい声で言ってみる。そう出来れば「きつくなってきちゃって」いるあなたの気持ちも少しは改善するはずです。

ただ、夫に目を向けると「優しい人」にちょっと疑問が残ります。優しさは物をくれることではありません。物には見返りがつきものです。夫の優しさとは何か、もう一度考えてみる必要もありそうですね。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!