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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2022年04月20日 case96【恋愛編】「私と彼は共依存?」

Q.
彼と暮らして1年です。コロナで式も挙げられないので、形にこだわらず二人の生活を大事にしてきました。結婚しないことを周りには「コロナのせい」って言ってるんですけど本当はコロナのせいじゃないんです。
彼は優しくて、私のためだけに生きてるような人。そんな彼を私も信頼していて、こんなに幸せでいいのかって思うんですけど、彼がいないと何も出来ないし、何も決められないんです。彼も同じらしく、私のために何かしていないといられないって言います。ちょっとでも時間があるとLINEをしたり電話をしたり。家の中でも彼の姿が見えないと探し回ってしまいます。完全に「彼依存」です。彼もそうだとしたら「共依存」ですよね。こんな状態で結婚して大丈夫ですか。

A.
子どもが成長して、人間として大人になるためにはいろいろな経験が必要です。楽しい体験や苦しい体験を経て一人前の大人になります。恋愛から結婚へのプロセスもそれと同じでいろいろな体験を経て成就していきます。出逢った時期は「ロマンス期」などと呼ばれる時期で、相手の何もかもが好き、欠点は見えず、この人こそ運命の人と思えます。そしてあなたのように彼なしでは生きられない、自分一人では何の判断も出来ないと思い込み、家の中でも彼の姿がちょっとでも見えないと探し回ってしまいます。彼もそうとのこと、この1年は「ロマンス期」が続いているようですね。あなたが「共依存」かもしれないと心配しているのももっともなことです。このままの形で「ロマンス期」が続くと「共依存」になるかもしれません。

今の状態はお互いに依存し合っている状態で、相手と自分の区別がなくなり、自分を見失い相手のことも見えなくなり、お互いに幻想の中の相手と生きている状態、言い換えると「癒着」している状態と考えられます。いずれ「共倒れ」が生じたり、お互いがお互いを支配したり、束縛し合う関係になってしまうかもしれません。それは「愛」ではなく「欲」だけがある苦しい状態です。しかし、このロマンス期の共依存状態は、「避ける」ものではなく「乗り越えるもの」です。相手と自分の区別がなくなり心理的にぴったりくっついてしまっているところを少し離れた視点でお互いを見て、違いを認め合い自立することが必要です。お互いが心理的にも物理的にも自立し合って依存することは「共依存」ではなく「相互依存」と呼びます。

「相互依存」の関係に至るまでにはどちらが正しいかという権力争いをしてお互いの正しさをぶつけ合う「パワーストラグル」と呼ばれる時期を経て、「レッドゾーン」という疲れて諦め、お互いの個性を認め合う時期がやってきます。ここで別れに至るカップルもいるわけですが、あなたのようなカップルは、ここを乗り越えて「相互依存」の時期がやってくることでしょう。それにはそれ相応の時間とエネルギーが必要ですが、今の「お互いにいいところだけを愛し合っている共依存」の状態から、「お互いの相容れない部分も許容した相互依存」の状態になると、今のロマンス期より何倍も何十倍もロマンスが感じられるようになりますよ。恐れず、お互いの違いを認めて、自立した「相互依存」にしてみてください。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!