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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2022年03月25日 case95【恋愛編】「これって優しさじゃなく支配?」

Q.
去年、10人で飲み会をした時知り合ったのが彼です。気配りが半端じゃなくて、優しい人って思ったんです。付き合い始めて半年たっても態度は変わらなくて、食事に行けばまず私を座らせてメニューを開いてくれる。食べたいものを聞いてくれて、時には「これ好きだったよね?」って私の好みのものを注文してくれる。デートは「どこ行きたい?」、買い物は彼が一人で決めていい時でも「どれ買う?」って必ず私の意見を聞きます。それが優しさだと思ってました。でも最近「これって支配?」って思うんです。聞いてくれはするけど結局最後に決めるのは彼だから。本当の優しさって、黙って私が決めるのを待っててくれることなんじゃないですかねぇ?

A.
あなたのおっしゃる通りです。あなたは自分で「本当の優しさって、黙って私が決めるのを待っててくれることなんじゃないですかねぇ?」と正しい答えを出しています。私たち「人間の特徴」は3つ。「一人ひとり違うこと(多様性)」「自ら変わること(自己創出力)」「かかわり合いの中で生きること(関係性)」です。

彼は、この人間の特徴を否定することになっていますよね。メニューも「これ好きだったよね?」と彼が注文してしまう、デートの行く先や買い物も、一応「どこ行きたい?」「どれ買う?」と必ず私の意見を聞いてくれるけれど「最後に決めるのは彼」。あたかもあなたの好きなもの、好きな場所を選んでくれているようですが、これではあなたと彼の違いを認めようとせず、自ら変わる可能性のあるあなたの選択を待ってくれていません。私達は、朝、何を食べるか、何を着るか、今日は何をするか、という小さな選択から、恋人を誰にするか、結婚は誰とするか、仕事は?と小さなことから大きなことまで日々「選択」の連続で生きています。そして時には選択を誤ることもあります。他の動物では「選択を誤る=死」ということもあり、失敗することは許されませんが、人間は自ら選択し失敗を繰り返しながらも自らを鍛え、周りの人々に支えられながら生き抜く自己創出力を持っているのです。彼の「優しさ」と見えるものはあなたの選択、そして失敗を許さないものです。彼の態度や行動はあなたが気づいた通り、「支配」に他なりません。

彼があなたを根本的には支配しようとしてする気配りを優しさとは違うとわかったことは素晴らしいことです。今こそ、自己創出力自ら変われる「人」としての本質を発揮して、あなたの選択をしてください。

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!