Q.
学生時代から付き合っている彼がいます。
私も彼も卒業後すぐに就職しました。仕事に慣れて生活が落ち着いたら結婚する約束でしたが、彼は「ミュージシャンの夢が捨てられない」と3ヶ月で会社を辞めてしまいました。その後は、路上ライブをやったり、スタジオ通いの日々です。そんな彼を両親は好ましく思っていないようで、資金援助は無し。「プロの道は甘くない」とか言ってアルバイトもしない彼を私が支えています。切り詰められるところはギリギリまで切り詰め、もう2年。
友達には「目を覚ましなよ。早く別れた方がいいよ」と言われますが、「一緒に夢を追いたいんだよ」と答えています。もちろん彼の才能を信じたいからです。でも「早く別れなよ」という自分もいるんです。
A.
今、あなたの中には2人の自分がいますよね。
1人は「まだ彼と一緒にミュージシャンの妻になる夢を追いかけたい自分」、もう1人は「そんな現実的でない彼のことは諦めて、別れた方がいいよ」という自分。この2人の自分が心の中で葛藤していて決められない。カウンセラーの意見を参考にして決めたいと思っての相談です。
実は、自分の中で葛藤している2人の自分がいる時は、どんな偉い人や経験豊かな友達の意見を聴いても、最後に決断するのは自分なんです。それならば今日は、2人の自分が心の中で競っている時の効果的な決め方、要するに本当は自分はどう思っているのか、どうしたいのかを見極める
カウンセリング技法をお教えしますのでやってみてください。
2つの空の椅子を用意します。Aの椅子に「彼と一緒に夢を追いたい自分」を座らせ、Bの椅子に向かって存分に、なぜ、どうして、まだ彼と一緒に夢を追いたいのか、その素晴らしさを熱く語る。そして「なのに何であなたは、そういう私に〝早く別れた方がいいよ〞なんて言ってブレーキをかけるのよ?!」と詰問する。そう詰問したら、今度はAの椅子からBの椅子に移り「だって、彼もう2年もどうにもならないでしょ。才能なんてないんじゃないの?いつまでも子どもっぽい夢を一緒に追いかけるなんて言ってるあなたも子どもだよね。さっさと別れて、別の彼氏を見つけた方が幸せになれるんじゃないの?!」とBの椅子に座った「早く別れた方がいいと思っている自分」からAの椅子に座った「彼と一緒に夢を追
いたい自分」に言い返します。座る椅子を変えながら、これを5、6回やってみます。
私の研究所で行う時は、私が「ファシリテーター」( 促進者)となって見守り、AとBの椅子に座って「自分」がごちゃごちゃにならないよう指示しますが、あなたのようにはっきりしている「2人の自分」の時は、自分の部屋など、人に邪魔されない環境なら1人でもできます。
普段は心の中でやっていることをしっかり声に出し、言葉で2人の自分を主張してみることで、「本音は何か」が面白いようにはっきり見えてくるはずです。あなたの場合はたぶん、Bの「早く別れた方がいいと思っている自分」の椅子に座った時に語気が強くなるかもしれませんね。
まだ2人の自分が拮抗しているようなら、決定はもう少し先に延ばした方がいいでしょう。皆さんも何か迷った時には試してみてください。