Q.
結婚して7年、5歳と3歳の娘がいます。夫とはあまり喧嘩をしないんですけど、子どものことではよくぶつかります。例えば、靴の脱ぎ方。夫は仕事から戻るなり子どもたちに「靴揃えなさい!」って怒鳴ることもあります。私には揃っているように見える時もです。箸の持ち方は練習用箸を買っていつも使わせています。私はもう少し大きくなれば自分で直すと思うんです。もっと子どもに任せて待てないのって思うんですけど、夫は「俺は小さい時に親にきっちりしつけられたおかげで助かってる」って言うんです。私は待ってくれた親に感謝してるんですけどね。子どもたちが思春期を迎えていろいろな問題が出てきた時、夫と一緒に乗り越えられるか不安でしかたありません。
A.
あなたの「私は待ってくれた親に感謝している」という子育ての「極意」ともいうべき考え方、私は大賛成です。人が精神的に幸福な人生を歩むためにはそれぞれの年齢で達成しておかなければならない課題があります。3歳ごろなら「自己コントロール」です。このころは、今まで親や大人にしてもらっていたすべてを自分の力で行おうと試みるようになります。飲食や衣服の着脱、排泄なども自分の力でやり遂げようとします。このことがうまく進んでいくと自信を持つようになり自律感が育ちますが、親の支配が強過ぎるとその後の人生においても自律感を持つことができにくくなります。「3歳の親子の綱引き」と言い、綱引きに子どもがいつも勝つようだと「わがまま」が助長され、親が常に勝つようだと親の顔色を伺い行動する自主性の乏しい子どもに育ちます。親子間の綱引きの関係が適度の自律感を持った自己コントロールを作っていくことになります。5歳では「自主性」の確立です。「自分の心の主人公」になる時期と言えます。これから自分が行おうとすることのイメージをしっかり持つことができ、それを自分の力で実現することに大きな喜びを感じるのです。自分の心に決めたことを実行する自主性が育つのです。大人のイメージの押しつけで行動させられると心の萎縮や必要以上の罪悪感が作られてしまいます。さて、あなたは「夫とはあまり喧嘩をしない」ご夫婦とのこと。人生の基本的価値観は近いのでしょう。ただ、子どものしつけ、育て方というのは、自身の生育歴と密接に関わっています。それが今の子育て観に大きく影響していると思われます。たやすく変えられるものではありませんが、ご夫婦でしっかり話し合いお互いの価値観を少しでも近づけられるよう努力してください。