Q.
コロナ禍で一人暮らしに不安を感じて結婚しようかなって思いました。
自分で相手を探すのは難しそうなので、結婚相談所に登録しました。
紹介された男性と半年お付き合いしています。
「お見合い」をしましたけれど、昔のお見合いとは違い、ただのきっかけですから気は楽でした。
でも相手をじっくり知ってからの関係じゃないので、関係を深めようとすると難しいんです。
相手の気持ちが分からない。私は言葉が大事って思うのに、彼は「態度で分かるでしょ」って。
分かるわけないです。「愛してる」「ありがとう」「ごめんね」とか言われないと。
相談所を利用したのは言葉のコミュニケーションが苦手だから?とは思いますけど、そこは努力をしてくれないと。
今後がとても不安です。
A.
新約聖書「ヨハネによる福音書」第一章に、「はじめに言葉ありき」という一節があります。
ギリシャ語で書かれた原文が色々な言語で訳され伝わった結果、意訳や誤訳があり、
無信仰でキリスト教徒でもない私は勝手に解釈していました。
「何事もはじめから言葉で表してくれないと真意が伝わらないじゃない!?」と。
実は聖書の本意は全然違ったのですがそれはここでは省くとして、
私が人の心の中を読み取れないとできないカウンセラーの仕事につくと「言葉は嘘をつく」という体験をたくさんしました。
たとえば、死にたいくらいつらいのに「大丈夫です」と心配させまいと嘘をついたり、
逆に「自分の存在を認めてほしい、苦しさをわかってほしい」と思う時に、小さな出来事を大きく語ったりします。
クライアントさんの一語一句を聞きもらさないように受け止めながら言葉の裏側にある本心を的確正確に見抜かなければなりません。
その時、重要なのは言葉ではなく、その言葉を発している時のその人の表情、特に目の動き、手ぶり身ぶりから声の音量、質、話のテンポなどです。
人の本心本音を最も表しているのは自律神経系の表現で、緊張して動機が激しくなる、汗をかく、顔色が青くなったり赤くなったりするなどで、これが嘘がなく信頼できるかどうかの尺度です。
それに続いて他者から受け取る情報の中で嘘を言わないのは、足の信号、手振り身振り、表情の順となり、最後に来るのが「言葉」なのです。
「言葉」が最も信頼できない情報であるとされています。
簡単に嘘をつけるのが「言葉」というわけです。
次に嘘をつきやすいのは表情で、相手の言葉を聞いて顔を見ているだけでは相手の真意は見抜けないということですね。
それでも人の「目」は、チンパンジーや他の動物と違い、白目の上に黒目があり、比較的、本音が表れやすくなっています。
マスク着用の多い今、よく観察してみてください。
あなたはたくさんの「言葉」を期待しているようですが、まずは彼の手足、身振り手振りに注目してみてはどうでしょうか?
もし、座って話しているときに足のつま先が上を向き、足の裏があなたから見えるようなら「ストップ」信号です。
ちょっと立ち止まって考えた方がいいかも…。
言葉が信頼できないとはいえ「愛してる」「ありがとう」「ごめんね」などは、人と人をつなぐ大切な言葉。
彼の言葉を待つのでなく、あなたから発してみるのもいいと思いますよ。