Q.
彼とは知り合って8ヶ月です。
ちょっと早いかなあと思ったんですけど、3回目のデートで初めてホテルに行きました。
その時はコンドームを付けたんですけど、3回目の時、彼に「外に出すから」って言われて、
本当は嫌だったんですけど、成り行きで付けないでしちゃったんです。
その後はコンドームを付けないことが当たり前になってしまいました。
不安でしょうがないので、最近は基礎体温を測って、妊娠の可能性の少ない時にしかデートできません。
妊娠しても、即結婚というわけにもいかないし、かといって堕ろしたくもないし…。
彼に「付けて」って言って別れを切り出されるのも悲しすぎます。
A.
お二人の性愛に水を差すようですが、はじめにはっきり申し上げておきます。
妊娠を望まないなら①膣外射精②基礎体温法③性交後の膣洗浄(シャワー、ウォシュレット等)などでは意味がありません。
3回目の性交の時、「外に出すから」と言われたとのこと。
男性は射精前に出る透明な液体(カウパー腺液、俗に言う「がまん汁」)だけを出したり、
精液だけを出したりコントロールすることは出来ませんので、カウパー腺液には精子が混ざっていると考えられます。
基礎体温法(いわゆる荻野式)は、本来排卵日を予測して性行為を行い、妊娠の可能性を高めるための方法です。
体調や心の問題など様々な要因によって月経周期がずれることもあり、場合によっては生理中の性行為でも妊娠することもあります。
ですから①②は避妊法としては全く十分とは言えません。
③の性交後の膣洗浄では完全に精子を洗い流すことは不可能ですからなおさらです。
彼に「付けて」と言って別れを切り出されるのは悲しいとのことですが、どうか勇気を持って「付けて」と言いましょう。
もしそれで別れるという話になるのであれば、彼はあなたを性の快楽の道具としか見ていなかったと潔く諦めることが賢明です。
あなたが彼の欲求をそのまま受け入れるために低用量ピルを服用したり、子宮内避妊具を入れたり、
あるいはアフターピル(緊急避妊薬)を婦人科で処方してもらう
(これらの方法は避妊には有効な方法でありますが、エイズや梅毒、淋病、カンジダなどの性感染症を防ぐことは出来ません)
ような負担を負ってまでお付き合いする相手ではありません。
もし、望まない妊娠で中絶することにでもなれば、あなたは身体と心にさらに大きな負担を負うことになりますが、
もう一方の当事者である彼はほとんど負担を負うこともないのです。
まだ避妊の方法も技術も発達していなかった1920年代の「主婦の友」や「婦人公論」の雑誌に、
「性愛を愛し合う二人のより良いコミュニケーションとするための避妊」についての記事が数多く取り上げられ、
「避妊について話し合う事、その事が2人の関係の親密性の形成に貢献する」
「産児調節の成功と失敗は女性よりも男性の責任である」という2人の男性の体験談が載っています(平成22年奈良大学 宮坂靖子論文)。
今から100年も前の男性でもこう考えていた人もいるのです。
どうか今後の恋愛、結婚においても、自分の性の快楽のために女性の心身をないがしろにする男性は選ばないでください。