Q.
2人の子どもが結婚して家庭を持ったので、30年連れ添った夫と別れる決心をしました。
夫の優しさに惹かれて結婚したんですが、すぐ夫の「優しさ」は、私だけでなく女性なら誰にでも優しいんだっていうことに気づいたんです。
実際に不倫をしていたかどうかは分かりませんが、嘘をついて外泊してきたり、Yシャツから香水の匂いがしたこともありました。
先日、夫に離婚を切り出したんですが「冗談はやめて」と取り合ってもらえませんでした。
ずっと仲のいい夫婦を演じてきたので当然なんですけど、夫にどう話せば喧嘩にならないで後味の悪い離婚にならずにすみますか?
A.
「後味のいい離婚」というのは、ほぼありません。
「どう話せば喧嘩にならない」かとおっしゃっていますが、相手も「いつかチャンスが来たら離婚してやろう」と狙っていたならともかく、「冗談はやめて」と取り合ってくれないとのことですから、難しいでしょうね。
30年という長い間、子どもたちが独立したら離婚しようと思いつつ、仲のいい夫婦の「いい妻役」を演じてきたわけですから、夫が「冗談」だと思うのも当然。
だから、どう離婚を切り出しても喧嘩にならないはずはなく、温度差があるようですから泥仕合になること必至。
しかも、あなたの潜在意識の中には30年にもわたる「女性なら誰にでも優しい」「あのときの嘘の外泊は誰?」「あのYシャツの匂いは誰?」と恨み辛みがぎっしり詰まっているのですから、喧嘩を売りたいのはあなたですよね。
少しでも後味の悪い離婚にしたくないのなら、30年にわたる疑問や不満をしっかりぶつけて、喧嘩をしてみてはどうですか?
エリック・バーン(1910〜70)は、「交流分析」という理論を提唱し、
人は誰もが「〝親〞的な私」「〝成人〞的な私」「〝子ども〞的な私」の内なる3人の私(5人に分ける場合も)の自我を持っていると言っています。
この3つの自我状態が自由に発揮されることで「人は自分の運命を決めたり、変えたり」でき、「誰もがOKの幸せな人生」を送ることができるという理論です。
あなたは30年ずっと「いい妻役」、夫にとっては「優しい親的な自我」で接してきてしまい、
夫はそれをいいことに「子ども的な自我」、自由でわがままな自分で生きてきたということになります。
今回、仲のいい夫婦を演じてきたのをやめ、思い切って「成人」、大人としての自分の部分をしっかり出し合って話し合いましょう。
喧嘩にもなるでしょうし、後味の悪い離婚になるかもしれないことの覚悟を決めてから、あなたの離婚の決意を話すことをお勧めします。