Q.
彼とのデートは定番です。テーマパークとか映画とか食事とか…。
いつも気になっているのが、彼が手をつないだりハグをしたりするのを避けてるんじゃないかっていうこと。
全然しないってわけじゃないんですけど、いやいやっていうか…。だから私はいつも恐る恐るなんです。
世界中新型コロナウイルスで大変なことになってますけど、イタリアの男性が「感染してもハグとキスはやめない」って言ってたのをTVで見ました。そういう態度って嬉しいですよね。すごくうらやましいです。
私の彼は新型コロナのことで拒否する理由があってホッとしてる、みたいな…。これから先の関係が不安です。
A.
今、時代はIT革命の副作用で「現実(リア ル)=オフライン」でも触れ合いの機会がどんどん減少して、触るものと言えばキーボードかスマホ画面という状態になっています。
親子関係でも、昔は子どもが転んで泣けば抱き上げて、手のひらで子どもの背中や膝をなでながら「痛いの、痛いの飛んでけ〜」なんてやっていましたが、今では「泣き止ませアプリ」を見せる時代。また小学校では「逆上がり」の指導で子どもの身体に触ることでセクハラと言われることを恐れて、先生は手伝うことができません。
医療現場でさえも医師や看護師が直接手を触れて「手当て」 をすることが少なくなり、手術さえも遠隔操作を利用する時代になりました。
ましてや今、新型コロナウイルスの感染をなんとか食い止めようと、学童保育所では子どもと子どもの距離を1メートル 以上空けるよう気を配ったり、あなたの言っているイタリアでも「ハグ、キス、握手は禁止」というお触れが首相から出されたりしています。
しかし、新型コロナウイルスの感染予防の「触れ合い禁止」にホッとしてハグや手つなぎをしないあなたの彼は問題ですね。日本語には、できないで困っている人を「手伝う」、痛みで苦しんでいる人を「手当てする」というようないい言葉があります。日本では 「手」を当てたり、「手」を伝ってお互いの痛みや苦しみを救ったり軽くしたりする文化が古来から大切にされてきました。
この「手」を当てたり、「手」を触れることで痛みや苦しみが軽減されることは近年の医学的研究でも明らかになり、「オキシトシン」というホルモンが触れ合うことで分泌されることがわかってきました。
「オキシトシン」の語源はギリシャ語で、女性の出産や子育てに関わっていて、分娩時に子宮の収縮を促し赤ちゃんが早く外界に出て来られ るように働く、早く生まれるという意味です。「オキシトシン」は
「幸せホルモン」「絆ホルモン」「信頼 ホルモン」「思いやりホルモン」などと呼ばれ、自閉症の治療薬としても使われているそうですが、「多幸感」をもたらすものとして普段の生活の中でもぜひ欲しいものです。
あなたの彼は仕事上、人とあまり触れ合わず、コンピューターと向き合っているとか、
もしかすると小さい頃、何かの事情で抱かれたり触れられたりすることが少ない環境で育ったのかもしれません。
「オキシトシン」は触れるだけではなく、「見つめ合う」「同じ感動を味わう」「一緒においしいものを食べる」などでも分泌するので、少しずつ慣れていってもらってはどうでしょうか。