人気連載

男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2019年04月01日 私の彼女はいつも年下

Q. 2年間付き合っていた彼女と一昨年別れ、昨年の夏から今の彼女と付き合っています。私は4月で36歳になるんですけど、今の彼女は19歳、一昨年別れた彼女も20歳だったんです。周りからは「また若い子を引っかけたのかよ」と非難されるんですけど、そんなんじゃなくて、結婚まで意識して真剣に付き合ってるんです。別れた彼女も今の彼女も私の勤めている会社にアルバイトに来たことがきっかけで知り合って、その後一緒に仕事をしながら親しくなりました。私、同世代の人とはうまく話が出来なくて、どうしても年下の女性になっちゃうんです。話をしていて楽だし、相手も私のことを立ててくれるんで…。でも結婚ってなると周囲から変な目で見られるし、親は絶対反対すると思うんです。

 

A. 私たちは社会の中で人間関係を作り、それぞれの役割を果たしながら生活しています。こうした「社会性」は、生まれつき備わっているわけではなく、学びながら獲得していきます。

「自我感情」と呼んでいる自分に関する感情は、幼い頃から存在します。人間は生まれつき自分を肯定しようとし、赤ちゃんですら自己主張することはご存じの通りです。おむつが濡れたとかお腹がすいたとか、快・不快の感情や愛情を感じたり怒ったり悲しんだりの感情を「自己と他者との関わり合い」の中で発達させながら生活しています。自分以外の相手とのコミュニケーションも同様で、他者と関わる中で言葉や態度など相手の情報に注意を向け、それぞれの情報を交換しながらそれをスムーズに行うことを幼少期から学んでいくのです。

相手の信号を注意深く受け止め、相手の信号発信がタイミングよく相手に自分の信号を送っていく。このように順番を取ることをターン・テイキングと呼びます。年齢を重ねるごとにこの相手とのやりとりは「他人を傷つけないように」とか「嘘はつかないように」とか道徳的価値判断の基準が複雑さを増していきます。これは、他の人の行動を観察したり、いろいろな社会経験を積み重ねることで身についていきます。価値判断の基準は「自分の善い悪い」の判断と他者の判断は異なっていることに気づき、その違いを認めたり、解消しようとすることから始まります。そしてこれがまさに「恋愛」とか「結婚」とかいう共同作業の中枢をなしている大切なやりとりなのです。

あなたはこの複雑な相互のやりとりやコミュニケーションを全部飛ばして、同世代の人とはうまく話せないので、上から目線で付き合える女性と楽な関係を結んでいます。たまたま好きになった人がかなり年下の女性だったということであれば別ですが、別れた彼女も20歳、今の彼女も17歳年下の19歳ということですから、コミュニケーションスキルの基本をほぼ無視して自己主張をしている楽な恋愛を選択していると思われます

最初はただかわいがられている、大切にされていると思っていた相手も2年も経てば、「自尊感情」が育たずあなたが「自己主張、自己誇示」するだけの恋愛だと気づいて去って行くことでしょう。大人のコミュニケーションスキルを身につける努力をしてみてはいかがでしょうか。

 

 

リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~恋愛編~case 61

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!