Q. 15年前、息子のためにとトイプードルを買いカールと名付けました。犬を飼うことに反対だった夫でしたが、カールと遊んでいる息子を見て「飼ってよかった」と言うようになりました。
5年前息子が大学に進学して家を出ると飼い主は息子から夫に。夫もカールを可愛がっていたのですが、3年前カールが亡くなると、また犬を飼いたいと言い出したんです。息子への責任感から可愛がっているとばかり思っていたのですが、そうではなかったらしく今度はヨークシャーテリアを買ってモジャと名付け、お風呂も寝るのも一緒、いつもモジャと遊んでいます。私もペットは好きですけど、夫婦生活があってこそ。でも夫にとってはモジャとの生活が先で、私はそれを支えるだけの存在になっています。
A. 「コンパニオンアニマル」という言葉をご存じですか?一方的に可愛がるオモチャのような「ペット」(愛玩動物)という言葉とは違い、人との長い歴史を共に暮らしてきた身近な動物を伴侶や家族、友達と同様に位置づけ、より親密で「家族」のような関係を彷彿とさせる「伴侶動物」という意味合いで用いられています。
すでに1985年頃から使われ始めています(2007年石田卓夫・日本臨床獣医学フォーラム代表)。人の生活の変化に伴って、その存在意義や価値、役割が変わり、近年の社会環境の中で見直され、家族の一員、社会の一員として位置づけられるようになったことから来ている呼び方です。
コンパニオンアニマルの条件は、人と共に暮らし、その動物の獣医的学習性や行動、人と動物の共通感染症が解明されていることで、その代表が犬と猫です。
まさにあなたは「私もペットは好きですけれど」と「ペット」と位置づけていますが、あなたの夫にとっては単に一方的に可愛がる「ペット」ではなく、伴侶、いえ、伴侶はあなたがいるようですから、家族の一員、友達のような「コンパニオンアニマル」になっています。「うちの娘」とか「うちの息子」、「×× ちゃんのママ」とか「×× ちゃんのパパ」と呼ぶのはやり過ぎとしても、「お宅の犬」と言っただけで怒る人が多いのも確かです。
コンパニオンアニマルはあくまでも「犬」や「猫」であって人間とは違いますが、息子さんが家を出た後のあなたの夫の心の隙間を埋めてくれたのが〝カール〞だったのでしょう。カール亡き後飼ったモジャとは、文字通り寝食を共にするかのような生活をしていますね。さすがに食事の内容は違うとは思いますが、同じ時間、同じ場所で二人で、いや一人と一匹で食事をしているのではないですか?
妻という伴侶が伴侶としての役割を果たしていないので、モジャを伴侶代わりにしているとまでは言いませんが、お風呂も寝るのも、遊び相手もモジャとなると、妻という伴侶はコンパニオンアニマル以下ということになります。きっとモジャはあなたの夫に従順で、言葉はしゃべれないので、口答えはせず、あなたの夫に寄り添っているのでしょう。あなたにモジャの真似をするようにとは言いませんが、夫の気持ちをよく受けとめてあげるようにしてはいかがでしょうか。
リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~夫婦編~case 52
2018年07月01日 ペット好きもほどほどにしてよ!
取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生
浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!