Q. 彼は会社の後輩なんですけど、私は専門卒、彼は大卒なので同い年の23歳。付き合い始めて1年です。先日、彼の実家に行きました。彼がいきなりご両親に結婚を前提にお付き合いしてるって言うのでびっくりしました。私はまだその気がないのでニコニコしてごまかしていたんです。そしたらお母様が「いいお嬢さんだからご両親も結婚を待ち望んでいるでしょ!?」と言って、彼に「早くご両親にご挨拶してきなさい」って言うんです。〝えーっ、うちの両親は待ち望んでなーい!だって私バツイチだもん。〞周りはけっこう知ってるので彼も知っているものと思っていました。ご両親の雰囲気だと、息子が初婚で相手が再婚なんて絶対無理そうだし、彼も無理そう。今さら彼にどう話せばいいのか…。
A. 自分がバツイチということを彼に隠そうとしたわけでもないし、ましてや彼の両親まで騙そうという魂胆もさらさらなかった。離婚した相手との間に子どもがいるわけでもないし、若かった自分のただの選択間違いの結婚、早々に別れた私はそれをことさら隠し立てしていたわけでもないので、知っている人は知っている。だから「彼も知っているものと思っていた」と言っていますが、あなたは本当にそう思っていましたか?違いますよね。
あなたはご自分で「(彼の両親は)息子が初婚で相手が再婚なんて絶対無理そう、彼も無理そう」と言っています。これは潜在意識(無意識とも言います)の中に「私がバツイチで彼は初婚、彼や彼の両親にこのことが知られたらこの交際はダメになる」という思いがあり、それが防衛本能として「相手は知っているはず」と思い込もうとするように働きます。あなたの無意識が必死にバツイチであることを隠そうとしてきたわけです。「今さら彼にどう話せばいいのか…」と悩んでのご相談ですが、「今さら」でいいので、すぐに彼に「実は…」と離婚歴のあることを話してください。
彼や彼の両親はすぐにでも「結婚」をと思っているんですよね。でもあなた自身は「まだその気がないのでごまかしていた」とおっしゃっていますが、「ごまかしていた」のは、彼や彼の両親ではなくてあなた自身の心です。離婚歴があることを1年も伝えず交際していた心の奥には、それが分かるとこの交際は終わるかもしれないという不安があったのでしょう。そして、その不安の奥には「離婚」は悪いこと、離婚をした女性はいい人ではないというどこか罪障感のようなものがあるのです。
「バツイチ」という言葉は男性なら「彼に欠点があったというよりは、まあいろいろあったんだろうな。いい経験かも…」くらいに受け取られるのに、女性だとまだまだ「結婚生活を維持できなかった人」「わがままな女性」のようなよからぬ烙印を押されることも少なくありません。どうかこの際、あなたのなさった「離婚」という選択に誇りを持ち自分自身を見直してみてください。きっとその選択をした自分も大切な「私自身」と素直に思えることでしょう。離婚経験を話したあと、彼のご両親が反対されても、それは2人で乗り越えられるはず。彼自身が「だったらやめた」と言うのであれば、彼はちっぽけな人だったと思ってあきらめた方がいいでしょう。
リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~恋愛編~case 38
2017年05月01日 今さらバツイチなんて…
取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生
浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!