Q. 結婚して8年です。夫の仕事はイベントの企画や運営で、ほぼ毎日全国各地を飛び回っています。私はOLで勤務は9時〜5時、ほとんど残業もありません。夫が家に帰ってくるのは週の半分くらい。帰ってくる日も私が寝たあとがほとんどで、一緒に暮らしている感じがしません。少し前に、夫が出張だったので会社の飲み会に参加したんです。誘われるままに2次会も参加しました。そこで、酔いが回っていたせいか後輩の男性に夫婦の現状を愚痴ったんです。そしたら、ホテルに誘われちゃって…。その時は断ったんですけど、その後も何度か誘われています。「不倫なんて…」とは思うのですが、彼も既婚者で安心なので、ちょっとくらいの遊びなら許されるかなあと思うようになりました。
A. 「結婚」って何なんでしょうね。「結婚してるからできない」ことがあったり、「結婚してるから守られている」ことがあったり…。何か得があるから結婚するんでしょうか?それとも相手のことが好きだからずっと一緒にいるために結婚するんでしょうか?
現在のような結婚の元は明治政府がつくった民法です。一夫一婦制を規定しましたが、権利は主として男性に、女性には義務のみが課せられ、男女不平等なものでした。女性は結婚によって夫との同意がなければ大きな買い物も借金もできないばかりか、自分の意思で離婚を決めることもできず、女性の浮気は罰せられ牢へ入れられることもありました。もっと古い平安の昔は男性が女性の所へ通う「通い婚」でした。「通い婚」は、通わなくなったところで関係が終わります。武士の時代になると、女性は相手を味方につけるための貢ぎ物として利用されたり、相手を油断させるための道具として使われたりもしました。当時は、結婚を愛や人柄で選ぶなど夢にも思わなかったでしょう。江戸時代には幕府が上下の秩序を守るための「家制度」で人々をがんじがらめにしました。女性は結婚前には父に従い、結婚後は夫に従い、老いては息子に従うという具合でした。結婚も夫が「三下り半」という簡単な離縁状を妻に渡せば離婚は成立です。
さて、日本国憲法第24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とあります。今のあなたの結婚生活は一緒に暮している感じがしないとのことですので、憲法に規定されている「婚姻」よりも、来たい時に男性が女性の元に通ってくる「通い婚」に近いでしょうか。その淋しさを紛らわすために「既婚の男性なので安心してちょっと遊んでも許されるかな?」と思っているんですよね。憲法に規定されているからということではないですが、第24条後半の「相互の協力により維持されなければならない」をいま一度やってみませんか?夫に心の内の淋しさを打ち明けてみても、夫が今の生活を変えるつもりがないのなら、お互い了解の上で古代のような大らかな性を楽しむのもありかもしれませんね。とはいえ、結婚が法律で規定されている以上、常識的に考えれば、離婚が先にあるべきです。他人を巻き込む前に、離婚も視野に入れ、ご夫婦で真っ直ぐ向き合い話をしてみてください。
リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~夫婦編~case 32
2016年11月02日 ちょっとくらいの遊びなら…
取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生
浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!