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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2016年08月11日 年上に惹かれる私。でも…

Q. 私、いつも年上に惹かれるんです。最初の恋愛は15歳年上の妻子ある男性で、私も若かったし、大人の関係を教えてもらっている感じで結婚は考えませんでした。次の恋愛も12歳年上。私はちょっと本気だったけど、彼には私は若すぎたみたい。そして、今の彼は18歳年上。3回目にして気づいたんです、私って年上が好きなんだって。今の彼とはお互い結婚を考えてました。ところが先日「僕が80歳の時、君は62歳。老老介護にはならないよね」って言われたんです。「えっ?確かにそうだけど、介護をさせようとして私と付き合ってるの?」って思って、一気に気持ちが冷めました。でも、私は年上が好きなんです。年上の男性ってみんなそんな風に考えているんでしょうか?

 

A. 年上の男性が若い女性を「介護」を目的のひとつにして恋愛の対象にするかというご質問に対しては、「無意識」では多分、それもあるとお答えしておきます。男性の多くはまず、妊娠の可能性の高い若いメス(女性)を恋愛の対象として選択します。本能のレベルから考えれば、動物はみな、種の保存を第一に考えますから、私たち人間も動物の一種である以上、そうならざるを得ません。ただ人間が他の動物と違うところは、他の動物が自分の遺伝子を保存するために、まず我が身を守ることを第一にして、次にその我が種を引き継ぐことを考えて(考えてはいませんが)性の関係を持つのに対し、人間は自分よりもむしろ相手のことを考えて行動するよう進化を遂げています。

人間以外にも自己犠牲をいとわずパートナーや子どもを守る動物もいることは観察されています。特に母親が、我が子を命がけで守る場面はテレビなどを通して見ることがありますが、これも種の保存のための本能的な行動と考えられます。弱って息絶え絶えになっている蛇のかたわらへ、つがいのもう一方が、自身の危険を顧みず木から降りて寄り添っている様子なども動物研究者から報告されています。けれどもこれは稀なケースです。人間は他の動物と比べて小さく弱く生まれる(立ち上がって歩くまでに1年もかかります)ので人の手を借り、人と人が助け合わないと生存できません。自己犠牲をいとわず人を助けるのです。とはいえ、本能は無意識レベルでは種の保存、妊娠の可能性がより高い若い女性を求めることになるのです。年上の女性を愛している男性は進化した人ということでしょうか?

というわけで意識して「介護」のために男性が若い女性を恋愛対象とするというよりは「種の保存」の法則にのっとってということになるのでしょう。ここであなたとあなたの父親の関係をこの際、振り返ってみてもらいたいのです。あなたは幼少期に本当は父親に守ってもらいたかったのに、父親が飲む、打つ、買うなどと言われるような父親だったため父親代わりを捜して恋愛の対象にしてしまうのかもしれません。あるいは、父親に溺愛され恋人にも父親のような年齢を求めているのかもしれません。どちらの場合も父親役をやらされる恋人には負担がかかり、恋愛がうまくいかないことも多いのです。ご自身の内面に目を向け、対等の恋愛関係になるよう努力が必要ですね。

 

リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~恋愛編~case 29

 

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!