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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2016年01月06日 女の親友に告白されて…

Q. 高校の時ちょっとだけ付き合った彼氏はいるんです。でも手をつなぐところまで。恋愛ごっこですね。それから10年間彼氏無しです。クリスマスどうしようかなって思っていたら、高校の時からの親友に「クリスマス一緒にやろうよ」って誘われたんです。一人よりはましかって、女二人で都内のホテルに泊まることにしました。そこで突然「付き合ってほしい」って告白されたんです。そりゃあ仲はいいですけど、女同士ですよ。でも彼女に「あなたもずっと彼氏いないじゃん。それって男がダメなんだよ。よく考えてみてよ。私となら付き合えると思わない?」って言われると確かにそうかもって…。でも、感情がそうでも頭が許さないっていうか、頭がそうでも感情が許さないっていうか…。

 

A. 今や同性同士の恋愛や結婚が社会的にも認められ、法的にもそれを可能にする方向に進んでいることは皆さんご存じのことと思います。あなたの場合は自分自身もお友だちも「彼氏ができない」から女性同士で付き合おうということですよね。

私たちが自分が「女」だとか「男」だとか認めたり感じたりするのには「遺伝子上の性」、「体、外性器などの性」、「心の性」の3つの要素があります。遺伝子上の性は、染色体がXYだったら男になり、XXだったら女になるとされています。外性器は胎児の時に受精卵がホルモンの影響によって男性器と女性器に分化して出産までに作られます。遺伝子がXYかXXかということと、胎児の時に作られる外性器が男性器か女性器か、が異なる場合があることは医学的科学的に証明されているんだそうです(麻生一枝著「科学でわかる男と女の心と脳」)。また、私たちの心は、たとえ外性器が男性であっても「自分は女性」と感じたり(「性自認」)その逆である場合もあります。このように私たちの性は「遺伝子・体・心」の3つの要素が組み合わさって決定されます。ニューハーフの人たちを見る時、彼女たちの心が自分は女だと認識しているのなら、たとえ男の体を持っていたとしても「女性」ですから、一人の女性として尊重されるべきでしょう。

私たちの性の決定は複雑で、あなたのお友だちが、体が女性で心が男性なのであなたを恋人にしたいのか、心も女性だけれどあなたを恋人にしたいのか、それに対しあなた自身の体や心はどのように感じ、どのように「性自認」しているのか等々、単純には考えられません。子どものころから見かけの性に違和感を感じ、思春期に「私って何?」という疑問を持った時、体の性と心の性のギャップに気づく人は少なくありません。あなたの場合、「彼氏がいない」ということだけで、あなた自身が女性であることに違和感を感じたことはないようなので「彼氏ができないのは男性がダメだから?」と考えるより、「私は女性が好き?」という問いを自分自身に投げかけてみてください。ここであなたの持っている本来の「性指向」とは逆の、間違った「性自認」をすると、そのことが今後の人生を大きく変えてしまいます。友達の申し入れを受けるか受けないか、あなた自身よく考え、友だちともよく話し合って共通理解をして決めてほしいと思います。これは他の誰にも分からないあなた自身の問題ですから。

 

リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~恋愛編~case 22

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!