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男と女のQ&A 恋愛編・夫婦編

2015年05月10日 〝別れよう〞の言葉が怖い

Q. 大学時代にとても好きな彼がいました。3年間お付き合いをして、就職後落ち着いたら結婚、私はそんなシナリオを書いていました。彼も同じ気持ちだったと思います。ところが原因も覚えていないくらい些細なことで喧嘩になったら、お互いその感情がどんどん膨らんで、彼から「別れよう」と言われてしまいました。私はまだ彼のことが大好きだったのに「うん」と答えていました。あれから5年。彼に未練があるわけではないんです。後悔みたいなものもありません。でも、誰かを好きになっても、また相手から「別れよう」と言われるのではないかと怖くなり、相手がそろそろ結婚について真剣になりそうになると私の方から別れてしまうことの繰り返しで、そこから先に発展させられません。

 

A. 「不幸な私が好き」症候群とでも言えばいいのでしょうか?と言っても、決して自分で「意識」して不幸になりたいと思ってそうしているわけではありません。「無意識」に悲劇のヒロインとして生きてしまうんです。エリック・バーン(1910―1970)が創始した交流分析という心理学の理論では「私たちは7歳のときまでに自分の人生脚本を決めている」といわれ、これを「無意識の人生計画」と呼んでいます。もしかするとあなたは7歳くらいまで両親のどちらかが過剰に厳しかった、あるいは不幸にして両親が離婚し片親に育てられた、といった子ども心に「人はいつ何が起こるか分からない。いつも用心していなければならない。人を全面的に信頼してはいけない」など、不安にかられて生きていた幼い日々があったのではないですか。

だからちょっと今までとは違って「幸せになりそうな私」を感じると「いやいや、こんな幸せは私の身に起こるはずがない」と無意識に今起こっている幸せな状況を拒否してしまう「生き方のくせ」がついてしまっているのです。「幸せへの道」は、今まで私が歩ってきた道とは全く違う見憶えのない道。穏やかで暖かく人を信頼できるその道は私が通ってはいけない道。私の知っている道は、不幸せで一人寂しく生きていく厳しい道。私の心のふるさとはその道なのだ、そう思ってしまうのです。

このように幼い過去の体験から無意識に自分の人生脚本を書き、その脚本の中で自分を悲劇のヒロインとして生きてしまう方に、私は「人生脚本の書き直し」をお勧めします。脚本は自分が(無意識に)決めたものであり、それは自分で書き直すことができます。これを「人生の再決断」と言います。あなたはもう幼いころの寂しく辛かったあなたではありません。父や母の助けがないと生きていけない小さなあなたではないのです。このまま悲劇の主人公として生きるのではなく、あなたの人生脚本をハッピーエンドに書き直しましょう。「別れよう」と彼に言われたのも、うまくいきそうな恋愛を悲劇に向かわせるためにあなたが言わせるよう仕向けたと思われます。そして心ならずも「うん」と答えてしまったあなたは悲しいにもかかわらず、どこかでホッとしたのではありませんか?今のままでは幸せになりかかると自らそれを崩してしまう生き方のくせが恋愛の度に出現することになります。どうぞここで人生脚本の修正を!

 

リニューアル新連載
【男と女のQ&A】~恋愛編~case 14

取材協力 臨床発達心理士 大関洋子先生

臨床発達心理士 大関洋子先生

浦和カウンセリング研究所所長
プロフェッショナル心理カウンセラー
上級教育カウンセラー
1941年生まれ。埼玉大卒業後、高校で国語・音楽を教える。
結婚、出産、男女の共生等の話題で新聞・TV・雑誌等にも登場。
著書「この子たちを受けとめるのはだれ?」好評発売中!