今回はイタリア中部で定番の「ポルケッタ」をご紹介します。
ポルケッタとは「豚の丸焼き」を意味し、その名の通り、豚をまるごとローストして作ります。
古代ローマ時代から、お祝いごとやお祭りの席で食べられていた伝統料理です。
お祭りの際に提供されていた、豚の頭付きのポルケッタ
頭付きのポルケッタは町の肉屋でも見かけることがあり、スライスして量り売りされ、そのまま食べたり、パンにはさんだりします。
僕は一時期、ウンブリア州のオルヴィエートという町の肉屋で肉の加工法などを学んでいたのですが、週に何度かポルケッタの仕込みをしました。
大きな豚肉を大人2人がかりで紐で縛って、専用のオーブンに入れ何時間もロースト。
ゆっくり焼き上げることで脂が程よく落ちて皮はパリッと、中の肉はしっとり仕上がり、色々な食感を楽しめます。
オルヴィエートの肉屋で仕込んでいた、レバー入りのポルケッタ
ポルケッタは、ローマ近郊のアリッチャ(ラツィオ州)という町のものが特に有名で、ニンニク、塩、ローズマリー、胡椒といったシンプルな味付けで作られます。
一方、オルヴィエートのものは、これらの味付けに加えて、レバーとフィノッキエットと呼ばれる野生のフェンネル(香草)を入れるのが特徴です。
レバーも使うオルヴィエートのポルケッタの方が味が複雑になり、僕は好きですね。
オルヴィエートはローマからも日帰りで行けるので、旅行に行った時には、それぞれの地域のポルケッタを食べ比べてみるのも面白いかもしれません。
2024年12月9日、「全国イタリア料理コンクール2024」(在日イタリア商工会議所主催)で優勝しました!
シェフ 門平光正
「アズーリ」(南区)などを経営する(株)ノースコーポレーションの店のシェフとして活躍中。