イタリア北西部に位置するイタリア最小の州、ヴァッレ・ダオスタ州には、お酒入りのコーヒーを何人かで回し飲みする「友情の杯(Lagrolla dell’amicizia)」と呼ばれる風習があります。
山々に囲まれたこの地の冬は大変寒く、熱い飲み物を皆で分かち合うことで身体を温めつつ、友情を深めてきたようです。
回し飲みをするときには、コーヒーは「グロッラ」という木彫りの容器に入れ、複数ある飲み口のうち、それぞれ自分の飲み口から飲みます。
全て飲みきるまでグロッラを下に置かないことがルールです。
雪に閉ざされる冬場、地域の男性は木彫りを生業とすることが多く、グロッラは有名な工芸品となっていきました。
⬆️購入したグロッラ。蓋のデザインは現地の動物をモチーフにしているそう
⬆️材料を全て混ぜて入れたグロッラに火をつけたところ
友情の杯は、コーヒーにグロッパという強めのお酒、ジェネピーというアルプスの高山植物からつくるリキュール、オレンジの皮、シナモンなどを入れたグロッラの縁に砂糖をまぶして火をつけ、消えたところで回し飲みします。
キャラメルのようになった砂糖、アルコール、柑橘の香りがコーヒーと混ざり、とても熱いですが味わい深く、美味しいです。
グロッラは種類が豊富で、僕も買うときかなり迷いました。
手作りの美しいデザインは、見ているだけで楽しいですよ。
⬆️ヴァッレ・ダオスタ州の町・アオスタの土産物店にはたくさんのグロッラが並びます