今回は、ロンバルディア州の冬の郷土料理「カッソーラ」をご紹介します。
カッソーラは、豚の様々な部位(耳、豚足、皮までも)を、サラミやスペアリブ、ちりめんキャベツなどと一緒にじっくり煮込んだ料理で、寒さ厳しい北イタリアの冬を乗り切れるような少し重めの味わいです。
カッソーラは日本ではなかなか食べる機会がなく、本で見るばかりだったので、イタリアでぜひ食べたいと思っていました。ところが、現地でもなかなかメニューにある店を見つけられず、何軒も探してミラノのある店でようやく出会えたときは、とてもうれしくて感激しました。
煮込むときは、ちりめんキャベツのほかにタマネギやニンジンなども使いますが、これらの野菜の甘みと豚肉の旨みが混ざり合って、より濃厚な旨みが感じられます。冷気に当たって甘みが増したちりめんキャベツはしっかり豚肉の旨みを吸ってトロトロになり、野菜の甘みが染み込んだ豚肉も柔らかくなって絶品です。
イタリアでは肉といえば豚肉が食べられることが多く、また、冬場に豚を屠殺する習慣があって色々な部位が手に入りやすいこともあり、カッソーラは冬の郷土料理として定着していきました。盛り付けるときは、トウモロコシの粉で作るお粥のような「ポレンタ」を添えることが多いようです。調理に手間がかかるため、今では家庭ではそれほど作られていないカッソーラですが、味わい深く、寒い冬に冷えた体を芯から温めてくれる一品です。