人気連載

人気連載:シェフのイタリア料理旅 シェフの門平光正さんが、イタリアでの修行中に出会った本場の料理を紹介します

2023年10月23日 【vol.10】ピエモンテ州の「バーニャカウダ」は寄せ鍋 !?

今回は、日本でもすっかり定着した感がある「バーニャカウダ」を紹介します。バーニャカウダは、ピエモンテ州を代表する冬の郷土料理。「バーニャ」はソース、「カウダ」は熱いを意味するピエモンテの方言で、その名の通り、アンチョビとニンニク、オリーブオイルを入れた熱々のソースに、野菜をつけて食べる料理です。野菜は、ピエモンテ特産でセロリのような見た目と苦味があるカルド、伝統的なハーブのフェンネル(ウイキョウ)、ビーツをメインに、あとはその時々に手に入る冬野菜が種類豊富に使われます。

バーニャカウダは、日本では前菜として扱われることが多いですが、イタリアでは、一皿で完結する料理「ピアットウニコ」のように食べられます。また日本ではおしゃれなイメージがありますが、本場では元々庶民の間で広まった経緯もあり、家族みんなでソースを囲んで野菜をつつくといった、寄せ鍋のような素朴な料理として受け入れられているようです。

ピエモンテでは、11月に「バーニャカウダデー」があり、僕の働いていた一つ星レストランでもそれに合わせて、終日バーニャカウダだけを提供するイベントを行っていました。結構人気で満席でしたよ。各家庭でも、オリーブオイルの代わりにクルミオイルを使うなど、それぞれの味があるようです。おすすめは最後、残り少なくなったソースに卵を割り入れ、トロっとなったところでパンに付けて食べる食べ方。すごくおいしいですよ。


ナビゲーター 門平 光正

ナビゲーター:門平 光正

イタリアでは、ミシュランで1つ星を獲得した店の立ち上げスタッフとして、メイン料理を担当。帰国後は「アズーリ」などを経営する(株)ノースコーポレーショングループの店のシェフとして活躍中。