今回は、日本でもすっかり定着した感がある「バーニャカウダ」を紹介します。バーニャカウダは、ピエモンテ州を代表する冬の郷土料理。「バーニャ」はソース、「カウダ」は熱いを意味するピエモンテの方言で、その名の通り、アンチョビとニンニク、オリーブオイルを入れた熱々のソースに、野菜をつけて食べる料理です。野菜は、ピエモンテ特産でセロリのような見た目と苦味があるカルド、伝統的なハーブのフェンネル(ウイキョウ)、ビーツをメインに、あとはその時々に手に入る冬野菜が種類豊富に使われます。
バーニャカウダは、日本では前菜として扱われることが多いですが、イタリアでは、一皿で完結する料理「ピアットウニコ」のように食べられます。また日本ではおしゃれなイメージがありますが、本場では元々庶民の間で広まった経緯もあり、家族みんなでソースを囲んで野菜をつつくといった、寄せ鍋のような素朴な料理として受け入れられているようです。
ピエモンテでは、11月に「バーニャカウダデー」があり、僕の働いていた一つ星レストランでもそれに合わせて、終日バーニャカウダだけを提供するイベントを行っていました。結構人気で満席でしたよ。各家庭でも、オリーブオイルの代わりにクルミオイルを使うなど、それぞれの味があるようです。おすすめは最後、残り少なくなったソースに卵を割り入れ、トロっとなったところでパンに付けて食べる食べ方。すごくおいしいですよ。