イタリアでは中部から北部にかけて栗の生産が盛んで、秋になると街角で香ばしい焼き栗の屋台をよく見かけます。
また、栗の収穫を祝って各地で「栗祭り」も開催されます。僕もピエモンテ州のドモドッソラにある料理学校に通っていたとき、周辺の小さな町の祭りに参加したのですが、大きな鍋で大量に炒られ、真っ黒になった栗をひたすら食べた思い出があります。
イタリアの栗は、主に野生種の「カスターニャ」と、栽培用品種でカスターニャより高級品の「マローネ」の2 種類に分けられます。小粒のカスターニャは、焼き栗のほか栗粉にして料理に、大粒のマローネは、マロングラッセなどのお菓子によく使われます。
ドモドッソラでは、栗粉を使った代表的な郷土料理「ドモドッソラ風ニョッキ」が知られています。これは僕がこの町で初めて食べた料理でもあるのですが、ジャガイモやカボチャをベースにした生地に栗粉を加えることで、栗の風味とやさしい甘さが感じられる一品です。
栗粉を使用した料理には、トスカーナ州の「ネッチ」というクレープのようなものもあります。小麦粉に栗粉を加えた生地にリコッタチーズを挟むのが定番で、こちらも栗の素朴でやさしい味わいを楽しめます。
栗の風味豊かな「ドモドッソラ風ニョッキ」