イタリアの最も南に位置するシチリア島。地中海交易の要衝であり、ギリシャ人、ローマ人、アラブ人など様々な民族にも支配されてきたことで異文化が融合し、独自の食文化が形成されてきました。
特に、島の西端にあるトラーパニはアラブの影響を受けていて、アラブ人の常食であるクスクスが名物料理の一つとなっています。クスクス発祥の地アフリカやアラブでは具材に鶏肉や羊肉を使うのに対し、「トラーパニ風クスクス」は、この土地で獲れた魚介を使うのが特徴です。パラパラした食感のクスクスに、トマトなどとともにじっくり煮込んだ魚介のスープをかけて食べるのですが、魚介の旨味が凝縮した深い味わいを楽しめます。
もう一つ、トラーパニには「ペストトラパネーゼ」という料理があります。これは、アーモンド・トマト・チーズ・バジル・ニンニクをペースト状にしたもので、「ブシャーテ」というくるくる巻きの手打ちパスタと合わせるのが定番です。日本ではあまり馴染みがない味ですが、アーモンドの風味とトマトの酸味が相まったペーストが、モチモチのブシャーテによく合って美味しいです。
シチリアには、まだ日本では知られていない料理がたくさんあります。ぜひ紹介していきたいですね。
▲魚介の滋味深い「トラーパニ風クスクス」