イタリアでは、各地で働いてその土地の郷土料理を学びました。秋頃、イタリア中部にあるウンブリア州・オルヴィエートの店にいたときによく作っていたのが「サルシッチャ(生ソーセージ)とブドウの煮込み」。日本ではほとんど知られていない料理ですが、サルシッチャのほどよい塩気とブドウの甘味が調和してとても美味しいです。
オルヴィエートはブドウ栽培が盛んで、ワインの産地でもあり、この地の名と同じ白ワイン「オルヴィエート」ともよく合います。ウンブリアにはまた、食肉加工で有名なノルチャという街があり、ウンブリア地域のお肉屋さんはノルチネリアと呼ばれます。サルシッチャの作り方は、働いていた店の近くのノルチネリアに毎朝通い、職人から手ほどきを受けました。
ノルチャでは黒トリュフも特産品で、特に「黒トリュフのパスタ」は人気の料理です。麺が見えなくなるくらいふんだんにかけられたトリュフを存分に味わえるのは産地ならではの贅沢。パスタは主に粉と水だけで作った太めの「ウンブリケッリ」という麺が多く使われます。
ウンブリアは土地の大半が緑の丘陵地で、キノコや豆類など森に由来する食材で作った素朴であたたかい料理が魅力です。埼玉にもぜひ紹介していきたいと思います。
甘じょっぱくて、日本人の舌にも合う
「サルシッチャとブドウの煮込み」