今回は、5月から7月初めだけに収穫できる「花ズッキーニ」を使った料理を紹介します。花ズッキーニとはその名の通りズッキーニの花のことで、イタリアではポピュラーな食材です。なかでも花の中に詰め物をして揚げたフリットは定番で、ローマ周辺ではモッツァレラとアンチョビを詰めたものがよく見られます。ナイフを入れると熱々のチーズがトロッととろけ、そこにアンチョビの塩味が加わると絶妙な味わいで、とても美味しい料理です。ほかにもイタリア各地で、魚介や挽き肉などその土地の産物を詰めて作られています。
フリットは日本のレストランでも食べられますが、日本のものが衣が薄くサクッと軽い食感なのに対し、イタリアでは衣がしっかりして、重い食感のことが多いようです。花ズッキーニはフリット以外にも、同様に具材を詰めて蒸したり、花を刻んで「フリッタータ」と呼ばれる卵焼きや、パスタの中に入れたりして調理されます。
読者の皆さんの中に、もし家庭菜園などでズッキーニを育てている人がいたら、朝少し早起きして、開いている花を摘み取ってみてください。花の中にチーズや挽き肉などを入れて、天ぷらの衣やパン粉をまぶして揚げればフリット、レンジでチンすれば黄色い花の色を活かした蒸し物が簡単にできます。ぜひお試しを。
もちっと重い食感のイタリアの花ズッキーニのフリット