イタリアで暮らしていた2年間は、お店で働きながら休みの度に国内中の店を訪ねて、その土地の料理を食べ歩きました。
ピエモンテ州にいたとき、電車で片道5時間かけて訪れたヴェネト州で食べたのが「ホワイトアスパラのバッサーノ風」。ゆで上げたホワイトアスパラに、ゆで卵のソースをかけただけのシンプルな一品ですが、ホワイトアスパラの甘さに、ゆで卵、ビネガー、オリーブオイルを混ぜ合わせたタルタルソースが絶妙にマッチしてとても美味しい料理です。「バッサーノ」は村の名前で、ここで採れるホワイトアスパラは太くて非常に甘みがあり、高級品として知られています。ちなみにバッサーノは、蒸留酒「グラッパ」の生産地としても有名です。
同じくヴェネト州で親しまれているのが「リージ・エ・ビージ」。これはグリーンピースとお米で作るリゾットのようなスープです。グリーンピースのさやで出汁を取るので、豆の旨みを米がよく吸ってこっくりした深い味わいを楽しめます。聖人サン・マルコの日(4月25日)には、ヴェネチアでは街中で食べられる、宗教的にも大切な郷土料理です。
2品とも春の短い期間にしか味わえない料理であり、その分食べたときの喜びは格別です。もちろん現地で楽しめたらいいのですが、日本でも提供する店がありますので、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
▲ホワイトアスパラのバッサーノ風