エミリア・ロマーニャ州のパルマは、イタリア屈指の生ハムの産地として世界的に有名です。豚肉に塩のみをまぶし、乾燥、熟成させて作られる「パルマ産生ハム」はしっとりやわらかく、さっぱりとした味わいで、主に料理の前菜として提供されます。また、パルマ近郊のポー川流域で作られる最高級の生ハム「クラテッロ」も、一度は食べたい価値ある逸品です。生ハムといえばスペイン産のものも知られていますが、イタリア産の熟成期間が1〜2年ほどに対し、スペイン産は3年ほどと長いため、食感は少し硬めですが旨みが凝縮され、深い味わいがあります。
エミリア・ロマーナ州の郷土料理には「ニョッコフリット」という揚げパンがあり、これにはパルマ産生ハムをのせて食べるのが定番です。熱々の揚げパンに、熱で溶けた生ハムの脂がしみてしっとりしたところをパクッとかぶりつくのは格別。パルマ近郊では「トリテッリーニ・イン・ブロード」というパスタ入りスープと共に食べることも多いようです。ニョッコフリットに合わせるワインは、微発泡性の赤ワイン「ランブルスコ」が主流ですが、最近は「ロマーニャ・トレッビアーノ」など、白の微発泡性タイプも人気です。このエリアは発泡性のワインが他のエリアに比べて多いのが特徴ですが、これは発泡により、生ハムをはじめ、現地の豊かな肉や乳製品などを使った重めの料理の脂を洗い流すため。口中をすっきりリフレッシュさせ、料理をより美味しく味わえます。
生ハムをのせたニョッコフリット